これが紙を切っただけだなんて…立体的な切り絵に驚愕「凄いを超えすぎて怖い」「美しい」

太田 浩子 太田 浩子

 足が複雑に重なる白いタコ。奥行きを感じますが、こちらは1枚の紙をカットして模様を切り出した「切り絵」。「紙をカッターで切り抜いただけの単純平面一枚切り絵です。」というコメントとともにツイートされた作品に、「神技!!」「極限的な作品ですね!(´⊙ω⊙`)!」「単純とは?」と大きな反響が寄せられています。

 「海蛸子(Octopus)」の作品をつくったのは、「切り剣 福田理代【初作品集発売中】(@kiriken16)」さん。福田さんは、シャープペンシル1本で下書きを描き、デザインカッター1本で紙を切ります。圧倒的な画力と集中力で生み出される作品は、ため息が出るほど美しい仕上がり。切り絵を手の上に乗せる「手乗せ」をすると、繊細にカットされた切り絵が揺れて、まるでタコが呼吸をしているかのように感じます。

 その完成度に「すげー…( ⊙_⊙)」「凄いを超えすぎて怖い((( ;゚Д゚)))」「これが紙だなんて 繊細で美しくて、とても感動しました」「切り絵というものの概念が覆りました!!簡単に出来るものではないと分かりつつも、私もやってみたいと思うくらい感動しています」と驚きと感動のコメントが寄せられています。

 高校生の時、友人のバースデーカードにと、紙をシンプルにハート型に切ったのが、福田さんの初めての切り絵だったそう。それから30年、独学でコツコツと切り絵を続けて、紙は大きく、カットは細かくなったと話します。現在も会社員をしながら制作を続ける福田さんに聞きました。

──平面の紙と言われても、立体的に見えます。

 残す線の太さの強弱で立体的に見えるようにしています。明るく手前に見える所は白い線を太く多く残し、暗く奥に見える部分は線を細く切って背景の黒がたくさん見えるようにしています。

──なるほど。多くの人が繊細な作品に驚きました。

 たくさんの方に私の作品を見てもらえてとても嬉しいです。子どもの頃から「こんな風になれたら嬉しい」と思っていた事が少しずつ実現していく事が信じられない気持ちです。それと同時に私の作品を見てくださっている人をがっかりさせないよう、もっと精進して今よりも成長して行かなければと背筋の伸びる思いもしています。

──写真集を出されるという夢をひとつかなえられたのですね。次はどんなことを計画されていますか?

 いろいろな事にチャレンジしていきたいですが、まずは全国各地で個展を開催、それが達成出来たら海外での単独個展にも挑戦したいです。

──「フルタイムの会社員であり高校生の母であり切り絵作家」という多忙ななか、切り絵の制作時間は夜中の3時から6時とか…。

 作業が納得いく形で進んでいる時は楽しくて楽しくてたまりません。時間もあっという間に過ぎます。時間を決めて15〜20分くらい仮眠を取ったりもするのですが、こんな時は目が冴えて仮眠ができません。

 反対に試行錯誤が上手くいかず遅々として進まない時は、決めた時間より早めに仮眠を取ったりしてリフレッシュします。

──切り絵の魅力はどんなところですか?

 紙を切って表現すると言う限られた技法の中でどこまでの表現ができるか試行錯誤し、それが上手く作品に活かせた時の達成感がたまりません。あと、紙を切る感触がなんとも言えません。下描きを描く時より切っている時の方が圧倒的に楽しいです。

 ◇ ◇

 福田さんの作品は、「大丸ミュージアム〈京都〉」(大丸京都店6階・京都市下京区)でおこなわれる『日本の切り絵 ~7人のミューズ展~』(9月8日~9月28日)で直接見ることができます。

■「切り絵創作家 福田理代」オフィシャルサイト https://kiriken.thebecos.com/

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