『ワクチン不足』の考えられる理由と解決方法 ワクチン配布数と接種数<前編>

「明けない夜はない」~前向きに正しくおそれましょう

豊田 真由子 豊田 真由子

『ワクチン不足』の考えられる理由と解決方法

①データ上は、全国の医療機関等に、約4300万回分の在庫がある。

ファイザー製ワクチンについては、6月末までに、国から自治体に約9000万回分が配布されていて、そのうち、データ上は、約4300万回分がまだ使われていない状況にあります。(全国の医療機関などの冷凍庫に、在庫として入っていると考えられます。)

(解決方法)

→都道府県が調整して、在庫のある市町村から、不足している市町村に移す

 市町村が調整して、在庫のある医療機関から、不足している医療機関に移す。

 各医療機関が融通し合うといったことも一部では行われていますが、やはり、都道府県や市町村など、全体を把握している方が、各所横断的に調整をする、ということが重要になってくると思います。

<算出方法>

・総配布数 91190970回(6月最終週の配送分まで。その次は7月第2週の配送なので、実質的には7月4日時点と考えて差し支えないと思われます。以下同じ。)

一般接種 68341箱×1170回(195バイアル×6回分。以下同じ。)=79958970回

医療従事者  4800箱×1170回=11232000回

・総接種回数 47875635回

一般接種(6月30日時点) 

24855310(1回目)+12055974(2回目)=36911284回

医療従事者(7月2日時点)

5977868(1回目)+4986483(2回目)=10964351回

したがって、データ上は、国から配布された回数分-実際に接種された回数分=91190970回―47875635回=43315335回のファイザー製ワクチンが、まだ接種されずに、全国の医療機関等の冷凍庫にあることになります。

②接種記録のシステム入力にタイムラグがある、あるいは、当該市区町村以外に住民票がある人に接種しても、接種した当該市区町村ではカウントされない、といった理由により、データ上から判断されるより、実際はワクチンが不足している自治体や医療機関がある。

(解決方法)

→前者については入力をできるだけ速やかに行っていただく、後者については、実際に居住する自治体との間で、ワクチンのやり取りをすること等も考えられますが、手間がどれくらいかかるか、といった問題もあると思います。

③国の方針を受け、各所が努力した結果、予想を上回るペースで接種が進み、一部で、供給ペースと接種ペースの間にズレが生じてしまった。

6月下旬の全国の1日当たりの接種回数(一般接種+医療従事者接種)を見ると、1日当たり、おおむね130万回~180万回の接種が行われています。

国からのファイザー製ワクチンの供給量については、まずは「希望する高齢者に、7月末を念頭に各自治体が2回の接種を終えることができるよう」、一般接種については、4月2841箱、5月36000箱、6月29500箱、7月21600箱で、合計105230970回数分(52615485人分)という予定で組み立てられており、上記①の在庫の話とも関係しますが、よく言われる「予定外に国からの供給が減って、必要な分が足りなくなった」ということが、必ずしも当てはまるわけではないと考えられます。

(解決方法)

→現場の接種ペースを調整していただくということも考えられますが、これについては「待ちわびている市民の方々に申し訳ない」「国が急かすから、無理して接種を早くできるようにしたのに・・」、「接種する医師・看護師等をすでに確保しているのに」といったいろんなご意見がおありだろう、と思いますので、やはり、在庫のある自治体・医療機関から不足している自治体・医療機関への移動というのが、有用な解決策だろうと思います。<後半に続く。>

【参考資料】
東京都モニタリング会議(2021年7月8日)
世界の感染状況(人口比)
厚生労働省各種通知
都道府県、年齢3区分別人口(総務省統計局)
・国内のワクチン接種状況(官邸)(厚生労働省
世界のワクチン接種状況(2回接種した人の人口に占める割合)

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