新型コロナワクチンの接種が始まってまもなく5カ月になります。医療機関のほか大規模な接種会場が設置されたり、職場や学校での接種も始まるなど、ワクチンを打てる機会は広がりつつあります。しかし先日、私の70代の両親が1回目のワクチンを打つときは大変で、予約を依頼された私をふくめた子どもたちとの間でトラブルも起きたのです。
200回電話しても予約できない!ネット予約を頼まれるが…
私の両親が住む東京都のB市では、4月下旬からワクチン接種が始まりました。ともに75歳である両親は対象者なので、予約が開始されたと同時に電話をかけました。
しかしかけてもかけても電話はつながりません。その日は朝から夕方まで合計200回以上電話をかけ続けましたが、結局予約はできませんでした。
その後両親は、電話予約よりもネット予約の方が予約が取れやすいと知人から聞き、子どもである私と姉にネット予約を頼んできました。
予約の開始日は明日の朝9時から。私にはその時間予定が入っていましたが、仕方なく予定をキャンセルし、親のワクチン接種の予約を優先することにしました。企業で働く姉もネット会議の時間をずらしてもらい、予約に集中しました。
しかし予約しても「エラー」と表示されるばかり。同じ市に住む知人もネット予約をしていましたが「混雑しすぎてエラーしか出ない」とこぼしていたため、ネット予約もしばらくはできないと半ばあきらめていました。
なぜ予約ができないのか数日後に気づく
その後もたびたびネット予約に挑戦しますが、エラー表示ばかりが続き、これは何かおかしいと思い始めました。何気なく高校生の娘に予約してもらうと、「これ予約番号が間違っているんじゃない?」との指摘が。
よく見ると、入力する接種券番号は10桁なのに、親が伝えてきた番号は6桁しかありません。この数日間、私も姉も親から口頭で言われた番号を正しいと思って入力していたのです。
あとから知ったのですが、親が伝えた番号は市から送られてきた封筒に記載されている、順番を割り振ったような番号でした。気づいたときはすでに遅く、ネットでは「すでに予約枠は一杯です。次の連絡をお待ちください」という表示が出ました。
周りが予約を取れ始めた焦り
その後の予約は、対象年齢が80歳以上に引き上げられたため、70代の親はますます予約ができなくなりました。
しかし、私たちが接種券番号を間違って入力し続けていた数日間のあいだで、近所には予約できた人も多く、やがて1回目を接種したという人も増えてきました。
「もうCさんは接種した」「私たち夫婦だけが取り残されている」
…親からの電話はワクチン接種ができない愚痴ばかり。スマートフォンを持たない両親はネット予約はもちろん、詳しい接種情報も得ることができず、焦ってばかりです。私たち娘も始めは優しく話を聞いていたのですが、そのうち両親が
「どうしてネットで予約できないのよ!」
と八つ当たりするようになり、思わず私と姉も
「だってそっちが正しい接種券番号を伝えなかったからでしょ!」と応戦してしまい、親子仲はだんだんと険悪になっていきました。
集団接種センター予約 まさかのキャンセル
その後、東京都では自衛隊による東京大規模接種センターが開設されました。B市の予約も再開したものの、接種日は1カ月以上先になるとのこと。その点大規模摂取センターのほうが予約も取りやすく、接種日は2週間後ということが分かりました。
自宅から大規模接種センターまでは遠いものの、とにかく早くワクチンを打ちたいと願う両親。本人たちの希望もあり、結局大規模接種センターの方で注射予約を済ませることができました。
しかし注射の予約ができたその翌日。両親が伝えてきたのはまさかの「キャンセルしてくれ」という一言。なぜかと理由を問うと
「モデルナ社製のワクチンが怖い。やはり大手町は遠いし、地元で打てるファイザー製のワクチンを予約してくれ」とのこと。
忙しい時間をぬって予約をした姉は激怒。「もう自分たちで予約してよ!」といって協力をしなくなりました。さすがに両親は反省して謝っていましたが、ネットでの予約は私だけの役目になってしまいました。
わがままに振り回された結果
その後、地元の病院のネット予約で両親のワクチン予約ができました。しかしこのときも、ネット画面では「80歳以上しか予約できません」と出たのに、やってみたら75歳の両親の予約ができたのです。予約のシステム自体も、どこかおかしくなっていたのかもしれません。
忙しい仕事の合間をぬって両親のワクチン予約に振り回され、親子げんかも勃発した今回のワクチン騒動。もう少し政府や自治体がスムーズに予約できるようにしてくれたら、このような親子間でのトラブルは起きなかったのでは…。最近は国からのワクチン供給が不足し、接種の予約受け付けを停止する自治体が続出していますが、混乱が大きくならないように祈らずにはいられません。