独立1年の有森也実、目下の悩みはSNSとYouTube「素が見え過ぎるってどうなの」

石井 隼人 石井 隼人

昨年6月に37年間所属した芸能事務所から独立。コロナ禍真っただ中で不安ばかりが頭をもたげたというが、フリーになって1年を経た現在は「なんとかやってこられたかな」と順調な滑り出しにホッと胸をなでおろしている。SNSを始めるか否か、それが有森也実(53)の目下の悩み事。こぞって俳優も参入し始めたYouTubeの世界も気になるというが、職人気質の性格がブレーキをかける。7月10日に出演映画『ねばぎば 新世界』の公開が控える有森に、独立後1年を迎えた現在の心境を聞いた。

「個人事務所という形ではありますが、私以外に所属タレントもいないし、フリーの立場。請求書の書き方や出し方などがわからずに最初は苦労しましたが、ネットで調べたり知人に助けていただいたり。今ではなんとか慣れてきました。事務作業の大変さを知ることで、改めて前事務所のマネジャーや経理担当者には感謝の気持ちがより湧きました」と一からのスタートを切っている。

コロナ禍での独立となったが、女優生活37年のキャリアは無駄にならず。映画、テレビ、舞台と以前と変わらずコンスタントに活動中。「今までやって来たことを信じればいいと思えたというか、今まで出会ってきた人たちを信じているし、周りも私を信じていてくれるような関係性がちゃんと見えてきました。それが独立1年目の心境。今後も新しい出会いや繋がりを増やしていきたいと」と前向きだ。

SNSには興味があるものの…

さらなる新しい分野に挑戦したいという意欲もあり、SNSやYouTubeの動向をチェックするようになった。しかし自分がやるとなると、どうも乗り気にはなれない。なぜならば“女優は演じてナンボ”との気持ちがあるからだ。

「古い人間の考え方かもしれませんが、女優の仕事は演じることですから、SNSやYouTubeをやることで素の有森也実が見え過ぎるってどうなのかなと。距離が近くなることで親近感が湧いて興味を持ってもらうというのもあるのかもしれないけれど、俳優の仕事は役柄を演じその役柄が作品の中で生かされることが最上という気持ちが強い。特に私は役柄ありきの女優だと思っているので、どこかミステリアスな部分も残しておかないと。役者は職人であるべきだと思うので」とブレないスタンスがある。

赤井英和主演の映画『ねばぎば 新世界』が公開間近。「赤井さんは素敵な人で、見返りを求めない人情の男・勝吉という役柄にピッタリ。タイトなスケジュールの中でもオヤジギャグを言ったりして現場を和ませてくれる。茶目っ気もあるし、太っ腹。明るい現場でした」と充実を口にする。

コロナ禍前に撮影された作品だが「図らずも今の時代にピッタリの内容に。『ねばぎば』というタイトルも、劇中の『諦めるな!』というセリフを聞くと、まさに今のことじゃん!と勇気をもらえます。今こそ公開されるべき作品であり、人間同士の繋がりこそが明日の勇気に繋がるということを教えてくれる。昔懐かしの人情も描かれているので、私たち世代の方々にもハマるかも」と期待している。

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