人気の猫キャラ「にゃー」の高島一精、関西初のイラスト展 「ドレスになったタヌキ」も

沢田 眉香子 沢田 眉香子

日本で最も愛された黒猫キャラのひとつ「にゃー」。ファッションブランド「Né-net」(ネ・ネット)に誕生し、数えきれないグッズ、LINEスタンプにまでなる人気だったが、昨年、惜しまれつつブランドはクローズ。「もう会えないの?」と、ロスを嘆く声は多い。

にゃーの生みの親は、デザイナー・高島一精。2019年以来、にゃーとは別に、イラスト作品の展覧会「This is not a cat」をスタートさせている。描かれているのは、にゃーのように、真っ黒なボディに白い目玉の生き物たちだが、タイトル通り「これは猫ではない」。そんな高島の イラスト展覧会が関西で初めて開催されている。

会場の壁一面に、黒一色で100種の動物のシルエットを描いたイラストが300点。動物図鑑を参考にして描いたそうで、それぞれの動物の特徴が「わからなくなるギリギリ」のシンプルさで絶妙にデフォルメされている。くりくりっとした目玉は「にゃー」と同じだが、どの子も、むかし動物番組で見たジャングルやサバンナの生き物たちの野生っぽさとキャラとしてのかわいさが絶妙に同居している。しかも、このイラスト、「着る」こともできる。

ドレスだけじゃなく、マスクになったイラストもある。ナマケモノの長い手がマスクのひもになって、お顔にぴったり。

 

デザイナー・高島一精は2005年に「Né-net」設立。アート的な造形の遊びとメッセージ性を秘めた作品で人気を博した。たとえば2009年秋冬のコレクション・ショーのテーマは「ムテキになりたい」。格闘技の聖地・後楽園ホールを会場に、モデルたちが覆面レスラーのようにマスクを着けて登場。バラク・オバマ米国大統領の就任時の宣誓の音声が流れ、「強くならなきゃ」とメッセージを送った。そんな高島のクリエイションである、にゃーも「This is not a cat.」の生き物たちもみんな、「可愛いだけじゃ、ないんだニャ!」と、やんちゃな目線をキラッと放っているのが魅力だ。

この、関西初の髙島の展覧会は、会場のKCI(京都服飾文化研究財団)に高島の作品が寄贈されたことを記念して開催された。ちなみにKCIは、17世紀ロココ時代のドレスから現代のシャネルやコムデギャルソンのようなモードまでの服飾資料1万3000点を収集し研究、公開するファッション研究機関。「Google Art & Culture」がファッションのプロジェクト「We wear culture」を立ち上げた際は、メトロポリタン美術館、ヴィクトリア&アルバート美術館とともに選出されている。世界有数のファッション史の殿堂に入った、にゃーも「This is not a cat.」の動物たちも、やはりただの猫ではない。

髙島一精個展 This is not a cat. :夜の動物園 
会場:KCIギャラリー(86m2)
住所:京都市下京区七条御所ノ内南町103 ワコール京都ビル5F
会期:2021年7月30日(金)まで
時間:9:00〜17:00
※要電話予約:075-321-9221(京都服飾文化研究財団・平日のみ)

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