春はハチの巣作りの季節 ネットで話題の駆除方法は「都市伝説」と専門家 効果的な方法は

広畑 千春 広畑 千春

 4~5月は、女王バチが新たな巣作りを始める季節。先日、我が家の近くでも大きな黒いハチが飛び交っているなと思っていたら、翌朝軒下に5㎝ほどの巣ができているではないですか!子どももよく通る場所ですし、早く駆除したいけれど、効果的な方法は-。

疑似巣でハチがいなくなる?

 SNS上ではガムテープをぐるぐる巻きにし、ハチの巣に見せかけた「疑似巣」を軒下に付けてみたところ、ハチがいなくなった!という体験談が話題に。投稿者によると以前SNSで見かけた方法といい、「リンゴ2個分ぐらいの大きさの疑似巣をかけたところ、それまで飛び交っていたハチを見かけなくなった」と話します。

 ネット上には実際にハチの疑似巣を販売しているサイトもあり、「ハチの縄張り意識を利用している」との説明もあります。

専門家「根拠なし」、軒先に2~3個の巣がある所も

 これに対し、ハチの生態に詳しい九州大学大学院農学研究科の上野高敏准教授は「結論から言えば、都市伝説のようなもので、根拠はなく、偶然いなくなっただけでは」と指摘します。

 その年の気候にもよりますが、女王バチが新しく巣作りを始めるのは春〜夏。アシナガバチやコガタスズメバチは4月中旬から5月にかけ、雨風をしのげて適度に風通しが良く、巣を固定しやすい、例えば表面がざらざらしている場所に小さな巣を作り始めます。夏になるとより攻撃性の高いキイロスズメバチやオオスズメバチなどの巣作りも始まります。

 「その時に判断するのは、巣を作るのに適しているかどうか。つまりハチの好みに合うかどうかです。確かに女王バチにも多少は縄張り意識があり、争ったり、相手の巣を乗っ取ったりすることもありますが、それも相手がいた場合に限ります。疑似巣からはハチが出て来ませんので、女王バチがそれだけで『不適』と判断することはないでしょう」と上野准教授。実際に、ハチが多い信州などでは、民家の軒先に、使われていないものも含めて2~3個の巣がかけられていることもあるといいます。

女王バチだけの間に対処を

 効果的な駆除方法は、やはり「女王バチに巣作りに適さないと理解させること」。

 ハチは比較的殺虫剤に弱い上、子孫を残すことが至上命題の女王バチは、生殖能力を持たない働きバチと違って攻撃性が低く、襲ってくることはめったにないといい、「まだ女王バチだけの、小さな巣のうちにゴキブリ用殺虫剤でも良いので女王バチに向けて噴射すれば、意外と簡単に駆除できるでしょう。2〜3mの距離であれば、届いていないように見えても十分効果はあります」とアドバイスします。

 気温の高い日中は活動量が多いため、夜を狙うのもポイントだそう。ちなみに、巣をたたき落としたとしても、もし女王バチがその場所を巣作りに適していると判断すれば、また同じように作り直すので意味はないといいます。やはり、ハチの巣対策も、「早期発見、早期対処」が大切なようです。

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