新型コロナウイルスのワクチンを常温のまま放置し960回分の廃棄を招いた神戸市が、記者発表資料に「指示が配送業者内において配達員に徹底されていなかった」と記載したことに対し、「事実は異なる」とする見解文を自社サイトに公開したバイク便カーゴ便の「セルート」(東京都)のワクチン配送プロジェクトの業務責任者が20日、オンラインで報道各社の取材に応じました。
同社デリバリュー事業部西日本マーケティング本部の大内利昭本部長が、経緯や市とのやり取りを説明しました。
同本部長の説明によると、同社はワクチンを医療機関に配送する際は、保冷ボックスからワクチンが入った容器を取り出して渡しています。5月8日にワクチンを集団接種会場に運んだ際、「会場担当者から『自分は(ワクチンに)触ってはいけないので』と説明を受けた」とする報告が現場のドライバーからあり、同日夕には神戸市の担当者からも会場での引き渡しについてあらためてメールする旨の連絡がありました。その後新たな連絡はなく、週明け以降も医療機関へ配送と同じ認識で業務にあたったそうです。
12日の記者会見では、セルート側に落ち度があるニュアンスで伝えられたため、同社は神戸市に「事実と違う」として発表資料の修正を申し入れ、書面も持参しました。14日午後には「不正確な表現で関係者に迷惑をかけた」とする記者資料が発表される段取りになっていましたが、最終的に「マスコミには各社個別対応する」との理由で修正リリースは見送られました。17日になって大内本部長のもとに副市長から「市が悪かった」という内容の電話がありました。
大内本部長は「配送を担うドライバーには『決められた通りやったのになぜ責められるのか』という思いがあり士気にも影響している。弊社のコールセンターに心ない電話をかけてくる人もいる。市のホームページという公の場で、間違ったリリースが掲載され続けているのがつらい」と話しています。