「学校だけじゃない」子どもに関わるさまざまな場で起こる性犯罪 防止する仕組みづくりは可能か

くま ゆうこ くま ゆうこ

学校での教師による性犯罪のニュースが教育に携わる人がわいせつ行為をするというニュースがあとを絶ちません。わいせつ行為をした教員は、二度と教壇に立たないでほしい!多くの人がそう思いますが、学校以外でも性犯罪は起こっています。

子どもに関わるのは教員だけではない

わいせつ教員を規制する法整備が検討されはじめています。

教育委員会や私立学校が教員を採用しようとするときに、過去にわいせつ行為などで処分されていないかを確認できるようになりましたが、教員免許が失効しても、3年後にはまた取得できるので、再取得できない期間を延長することを検討しています。

ただ、子どもに関わる職業は教員だけではありません。保育士や塾講師、学童スタッフなど子どもと接する機会を持つ職業はたくさんあります。

今年の2月には勤務先の保育所の園児に性的暴行を加えたなどとして、強制性交等罪などに問われた千葉県野田市の元保育士の男性が、約10人の園児にわいせつ行為をしたと認めていることが裁判で明らかになりました。

また昨年12月には、東京都豊島区で子ども食堂を運営するNPO法人理事長の50代男性が、ボランティアとして活動していた元食堂利用者をはじめ複数人の女性への性暴力を理由に解任されたというニュースが報じられました。

福岡では、発達障害などがある子どもを支援する放課後等デイサービス事業所に通っていた当時13歳の女子生徒にわいせつな行為をした疑いというニュースもありました。書き出すとキリがありませんが、子どもを支援する人間が、立場を利用して、子どもに牙をむいているわけです。

子ども支援の場では第三者的な介入が必要

子ども関わる人の性犯罪ニュースをみるたびに、余罪が心配されます。

“犯罪は捕まるまでやる”わけで、見つかったのは氷山の一角にすぎず、過去に何度も繰り返し行っていることが多いと考えられます。

教育や支援の場で心ないひとりの大人が子どもと接することで、苦しみ、悲しむ子どもたちが何人も存在しているのです。

どのようにしたら性犯罪を防止する仕組みづくりができるのでしょうか。

性暴力は、被害者がなかなか声をあげられないということもありますが、仮に勇気を出して行動をしたとしても、「子どものために話を大きくしてはいけない」と組織の中の大人がなかったことにすることがあり、本来の「子どもを守る」という視点でのセーフティーネットがまったく機能していないことが往々にしてあります。

声をあげたときになかったものにされないようにするためには、加害行為をしている大人をかばうことがない一定の距離をおいた第三者的な立場の介入が必要です。

第三者が子どもの声をキャッチしすぐに動くことで、被害の隠ぺいや長期化、被害者の拡大が防げますし、第三者の目があることそのものが、犯罪発生の抑止力にも繋がります。

既に相談窓口としては警視庁の「性犯罪被害相談電話「#8103(ハートさん)」や性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センター「#8891」の窓口はありますが、警察という響きが子どもにとってハードルが高いような気がします。子どもたちがもっと身近に感じる存在があるといいでしょう。

「性犯罪をするかどうか見抜くのは難しい」と思考を止めてしまっては、子どもを救うことはできません。SNS・電話・口頭あらゆる方法で、所属しているコミュニティ、団体以外に「助けて」と声を出せる仕組みが必要です。

子どもに性犯罪をしてしまう大人が一定数いる以上、教育や支援の現場では、常に監視の目をひからせておくこと、犯罪行為をさせない環境や仕組みづくりを早急に考えないといけません。そして、私たちは、立場を利用して子どもに近づく大人にもっと怒るべきだし、処罰すべきなのだと思います。

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【参考リンク】

▽性犯罪被害相談電話 「#8103(ハートさん)」 
短縮ダイヤル#8103をかけると 近くの性犯罪被害相談電話窓口につながります

▽各都道府県警察の性犯罪被害相談電話窓口(令和2年4月1日現在)https://www.npa.go.jp/higaisya/seihanzai/seihanzai.html

▽性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター一覧https://www.gender.go.jp/policy/no_violence/seibouryoku/consult.html

▽性犯罪、性暴力被害者のためのワンストップ支援センター「#8891」(男女共同参画局)
短縮ダイヤル#8891をかけると 最寄りの支援センターへつながります

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