ネットでの誹謗中傷「うちの子は大丈夫?」…トラブルに遭遇する前に見つけておきたい「相談先」

くま ゆうこ くま ゆうこ

「子どもがネットで誹謗中傷を受けたらどうすればいいですか」と聞かれることが多くなりました。

誹謗中傷をされた場合は、まず書き込みの証拠をとることが大切で、スクリーンショットをとりましょうというのは、既に聞いたことある人も多いでしょう。

証拠がなければ、話を進めることができないのでとても大切なことなのですが、その知識だけでは万全とはいえません。

冷静なときにこそ行うべきトラブル対策

人は、思わぬ攻撃を受けるとパニックに陥ります。特にネットでの誹謗中傷は、ちょっとした発言からいきなり攻撃が始まり、驚いているあいだに言葉の暴力はエスカレートし、不安と恐怖から動揺することが非常に多いのです。

そして人は、パニックになると冷静な判断ができなくなります。

そのために、まだ誹謗中傷にあっていない冷静な今だからこそ、もしトラブルに遭遇したら誰に相談できるか、相談するべきかをよく考えておくことが大切です。

いざという時に相談できる「あなたにとってのふたり」を見つける

私は、特にトラブルに遭遇していない、落ち着いた状態のときにこそ、トラブル時に相談できる下記のような人たちを見つけておくことをおすすめしています。

・1人目:自分のことをよく知っていて力になってくれる身近な人
・2人目:背景を知らない専門的な知識をもつ第三者

   ◇   ◇

▽1人目 自分のことをよく知っていて力になってくれる身近な人

子どもにとっての親、母親なら夫、父親なら妻、あるいは祖父母や身近にいて相談ができる友人。心をさらけだせる人をあらかじめ「万が一こういうことがあったら、とにかく、この人に話そう、相談しよう」という相手を冷静に判断できるときに考えておきましょう。

まず共感を得られる人、混乱している状態でも見守ってくれる人、その人は何があっても「あなたの味方」になってくれる人がいいですね。

   ◇   ◇

▽2人目 背景を知らない専門的な知識をもつ第三者

具体的には、法律の専門家、たとえば弁護士です。他にも自治体などに相談窓口があります。

ハラスメントやネット上のトラブルに強い弁護士で、実際に相談に行きやすい場所にいる先生を探したり、自治体の窓口などいろいろと調べたりしておいて、いざというときは「ここで相談しよう」と心づもりしておきます。

専門家に相談する良い点は具体的な解決策を見出してくれることですが、実はもうひとつメリットがあります。

それは背景を知らない第三者であるということです。

相談をするには、自分たちが置かれた背景やどんなことをされたのか、最初から最後まで説明する作業が必要になりますが、この「イチから話す」ことがとても大切です。

まったく状況をわからない人に理解してもらうには、内容を整理して、伝わるように話さなくてはなりません。それは同時に自分の頭の中、心の中を整理することにもつながります。すべてをわかりやすく話そうとすることで冷静な気持ちが戻ってきますし、何が起きているかを客観的に把握しやすくなります。

   ◇   ◇

「特に何も問題がない時点で相談窓口と専門家を探すってどうなの?」と思ったかもしれません。しかし、何か起きてからだと、どうしたらいいのかわからなくなってしまい、パニックで「誰かに相談する」ことさえ実行に移せなくなります。だからこそ、日頃から「トラブルに巻き込まれたらあの人に話してみる」「いざとなったらこの先生に相談する」と心づもりしておくと安心です。

自分の子どもを被害者・加害者にさせないために

ネット上でのいじめについては、子どもとしっかりと話し合うことが大切です。

まず親は、自分の子どもは被害者になるリスクと同時に加害者になることもあるのだと認識しておくべきです。軽い気持ちで行ったSNSの書き込みが「相手に対する言葉の暴力になる」「相手をたたきのめしてしまう」罪のある加害者になりうるのだということを、何度でも子どもに伝えてください。

人を叩いたら、相手が「痛い」と言います。泣き出すかもしれません。子どもは「悪いことをしてしまった」と気づきます。しかし言葉の暴力は相手の痛みが目にみえず、悪いことをしたという感覚さえ生じません。

しかも、その言葉の暴力は間違った正義感に基づいていたり、根拠のない話を信じた結果生まれていたりすることもあり、余計に「相手を傷つけている」「相手が痛い思いをしている」ことがわかりにくくなっています。

リアルな世界では当たり前にわかることがわからない。だから、何度でも親が子どもに話すしかありません。

女子プロレスラーの木村花さんが死去した背景に、SNSで匿名の誹謗中傷を受けていたことが報じられていますが、ネットでのトラブルはこのような悲しい結末に至ることがあります。

悲劇が起きる可能性はもしかしたらとても身近にあり、誰もが加害者に、あるいは被害者になりえるのだということを、何度でも話してあげることが親としての役目だと思います。

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