とらちゃんのんびりペースで目指せ21歳

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 今日ご紹介するのは、こばやし動物病院のご長寿猫、とらちゃんです。御年20歳、お家では「とらさん」と呼ばれ、愛されています。

 とらちゃんとは一昨年からのお付き合いなのですが、その時すでに18歳のおじいさん。歯の状態が悪く、歯根に膿(うみ)がたまり、副鼻腔(びくう)炎もあり、お顔全体が腫れ上がっていました。また、便が出づらい、腎機能の低下など、老猫ならではの症状があり、とても大変な状態でした。

 何とかしてほしい、何とかしてあげたい、ご家族と私たちの気持ちが一つになり、地道な治療が始まりました。便をかき出す処置や、顔にたまった膿を抜く処置など、とらちゃんにとっては大変なことも頑張ってくれました。

 もう少し若い子なら、麻酔をかけて歯の処置をすることも可能ですが、高齢のとらちゃんにはその選択肢はありません。お薬を飲んで膿がたまるのを抑え、お口のケアができる「伝医水」というお水を継続し、便を出しやすくする効果のあるフードを食べ、ゆっくりと、無理のない範囲で治療を続けてきました。

 便の状態はほどなくして良くなりましたが、お顔の腫れは少し良くなったかと思うとまた悪くなり、それでも諦めず、お薬を続け、おいしいものを食べて体力をつけ、そして何より、ご家族との時間を大切に、とらちゃんの治療は続きました。

 そんな毎日が1年ほど続いた頃からでしょうか、お顔の腫れが全くなくなりました。体重も増え、腎臓の機能も初診時から悪化することなく、万全の体調で、昨年12月に20歳を迎えることができました。

 病院のブログでもとらちゃんのお誕生日をお祝いし、みなさんに見ていただきました。ご家族も、「一日も長くとらさんと過ごしたい。とらさんにとっていいことなら何でもしてあげたい」と愛情深く、積極的に治療に参加してくださるおかげで、とらちゃんの状態は安定しています。

 とらちゃん、みんなが見守ってくれています。とらちゃんのペースでのんびり過ごして、21歳を目指して頑張りましょうね。

◆小林由美子(こばやし・ゆみこ)獣医師。1990年開業の埼玉県ふじみ野市「こばやし動物病院」院長。米国で動物の東洋医学、自然療法を学ぶ。治療はもちろん予防やしつけなどにも造詣が深く、講演活動も行う。ペットと飼い主双方に寄り添う診療が信頼を得ている。

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