お酒で豹変する元夫「私だけなら我慢しようと思ったけど」 シングル女性がDV被害者からカウンセラーになった理由

長岡 杏果 長岡 杏果

私の友人Aさん(30代・会社員)は、20代前半で結婚・出産。そして、離婚を経験しました。Aさんが離婚した当時は私自身もバタバタしていた時期だったこともあり、あまり詳しく話を聞くことができなかったのですが、最近になって当時の話を聞く機会がありました。というのも、私自身も離婚してシングルマザーになったことで話をしやすかったのだと思います。

元夫はDV気質だった

Aさんから当時の話を聞くと、実はAさんの元夫は普段は物静かで柔らかい印象の人でしたが、気にくわないことがあると酒を飲み、暴力を振るう人だったそうです。

他愛ないことがきっかけでスイッチが入り、家財道具を壊したり、壁や窓を割ってしまうこともあったとAさんは話します。

破壊行為で元夫自身がけがをしてしまうこともあったそうで、危機感を覚えたAさんが警察や救急に連絡しようとしても、携帯電話を取り上げられ、折られてしまったといいます。

子どもに危害を加えたくないと元夫を抑えようとしますが、成人男性に女性が敵うはずもありません。その度に腕や肩を噛みつかれたりしたそうです。

しかし、アルコールさえ飲まなければ元夫は普通の人。現状を義両親に伝えましたが、「夫婦のことは夫婦で解決して」と力にもなってもらえません。「私が何とかしなければと思ったのが共依存の始まりだったんだよね」とAさんは少し辛そうに話します。

抜け出すきっかけは子どもたち

「でも、そこからどうして抜け出せたの?」と聞くと、「きっかけは子どもたちなんだ」と話し始めました。

子どもたちは当時まだ入園前。ある夜、子どもたちが眠っているときに長男を軽く蹴飛ばしたらしいのです。

寝ているところを突然蹴られてビックリした長男は当然大泣き。いままでは子どもたちにとっては大切な父親だし、自分だけが我慢すればいいと考えていたAさんでしたが、この一件で離婚に向けて準備をすることを決意。

しかし、まだ下の子は産まれたばかり。Aさんはそこから離婚をするにしてもまずは収入!と考えて復職し、1年半の期間を費やして少しずつ引っ越しなど作業を進め、2人の子どもを引き取り離婚をしました。

DV被害を少しでも減らすために

Aさんは一通り話した後、私にこう言いました。

「私が離婚してからもう10年が過ぎたけど、実は離婚相談を受けることが多いの。苦しくても、なかなか行政に頼ることが出来ない人たちがいっぱいいるんだよね。いまは私と同じような悩みを抱える人たちを一人でも救いたいと思って、カウンセラーをしているんだよね」

そう話すAさんの声はとても力強く、きっと相談者の気持ちに寄り添うことのできるカウンセラーとして活躍しているんだなと感じました。

DVはふとしたことで起こることがあります。そして、当事者ではなかなか判断がつかないということも多いものです。「もしかして」と少しでも感じたら、迷わず誰かに相談することが大切です。

少しでもDVで苦しむ人が少なくなるように私自身も考えていきたいと思った一件でした。

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