年度末に公共工事が増える?なぜ何度も掘り返す? 公共工事の謎、予算消化説は間違いだった

村山 祥栄 村山 祥栄

「またやってるよ、年度末の公共工事」

年度末になるとあちこちで道路工事が行われているのを見るたびに、

「予算を使い切らねばならないのだろうなあ」

と思っておられる方が多いが、これは昔の話である。今はどこの自治体も土木の予算が削減され、予算消化どころかそもそも予算が足りていない。にもかからわず、年度末に工事が集中する理由は別のところにある。近年、予算不足に加え自然災害が増加し、それに即座に対応するために土木の補修・改修予算は全体的に年度後半まで残すようにしている。その為、年度末が近づくとプールしていた予算を一気に使い、溜まっている補修や改修工事に充てるため、年度末に工事が集中している。

突如、橋の工事が止まった?

私が市議時代「突如、橋の工事が止まったが、何が起こったのか?」という話がしばしば寄せられた。「工期を伸ばして工事代金を引き上げようとしているのでは?」とうがった見方をする方がいるが、そうではない。河川に関する工事は、基本的に川の水が減る非出水期(11月~5月)にやることになっており、川の水が増水しやすい出水期(6月~10月)は基本的にやらない。したがって、長期化する橋梁工事などは出水期にまたがると工事が止まるという事態に見舞われることになる。近所の護岸工事が突然止まったとしたら何月か確認してみるといい。

何度も掘り返す道路、無駄遣いじゃない?

「道路を掘って埋めて、また掘って」という苦情もしばしば寄せられるが、これにも理由がある。もちろん、無駄遣いの為に掘っているわけではないし、それ程お金が余っているわけではない。道路を掘り返す工事はいくつかあるが、一番多いのは、古くなった水道管を新しい管に入れ替える工事だ。特に戦後、鉛製給水管が長らく使われてきたが、これが体に良くないということと老朽化問題で全国的に入れ替えを行っている。この水道管の入れ替えはなかなか面倒で、三回掘って埋めるという工程になっている。一度目は、本管の交換工事をする間給水が止まるのを防ぐ為に仮設の管を埋める。二度目は古い本管を抜いて新しい本管を入れてそれぞれのお家に接続し、再び埋める。三度目は仮管を抜き、最後は路面を全て綺麗にする本復旧という工程になる。一度に全部やればという声もあるが、そうすると道路工事が長期化し、その間道路がずっと使えなくなり交通に支障をきたす為、周辺への配慮からこうした工程となっていたのだ。

ついでに言えば、最近はガス事業者や水道事業者、共同溝設置事業者などと毎年話し合いをし、出来るだけ一緒に工事をすることで何度も掘り返さずに済むような対策も取られている。ただ、水道管の敷設替えが終わった後に、ガス管の漏れが発覚し、せっかく綺麗になった道路を再びガス会社が掘り返すというようなこともないわけではないが、基本的にはやるべくして工事をやっているというのが昨今の公共工事事情なのだ。

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