京都市左京区の高野川に架かる河合橋に生えたマツの木の行く末を地域住民が心配している。コンクリートの隙間から枝を伸ばし、「ど根性マツ」として親しまれてきたが、橋は現在、歩道拡幅工事が進んでおり、「このまま切られてれてしまうのか」との声が上がる。マツの運命はいかに…。
マツが生えているのは京阪出町柳駅近くにある橋の北東側。10年以上前から存在が確認され、橋桁のコンクリートの隙間から水平方向に2メートル近くも枝を伸ばしている。恵まれない環境下で、松ぼっくりをつけるなど立派に成長する姿が、地域住民を勇気づけてきた。
毎日のように近くを散歩する主婦柏木夫美さん(62)=左京区=は「土がないところに木が生えていて最初はびっくりした。以前は小さかったのにみるみると大きくなった」と成長を喜び、拡幅工事を理解しつつも「何とか残してくださったら」と願う。府民や有識者でつくる「鴨川府民会議」でも6月に開催された会合で、委員から「木が元気な間に動かせないか」などと、保存を求める声が上がっていた。
市によると、工事は10月中旬に始まり、2022年3月までに現在幅1・5メートルの歩道を2メートルに広げ、歩道と車道の間に防護柵を設ける。現在は工事の足場やネットが張られ、老朽化した橋の補修後、まずはマツのない南側から歩道を拡幅する。
マツのある橋の北側は来秋以降に工事に取りかかる予定。マツを残したまま歩道拡幅するのは難しく、市は府が管理する近くの鴨川公園への移植を決め、細かい時期や場所を検討している。
市橋りょう健全推進課の藤澤宏太課長は「大きくなりすぎると重くなったり、盛り上がったりしてしまうので放置はできない。樹木医とも相談して大切に扱いたい」と話す。
移植後、新しい場所でど根性マツは元気に育つのか。再び地域住民の関心を集めそうだ。