全長18メートル「連接バス」神戸にもデビュー 運転士不足の切り札、しかし日本ではまだ導入少なく

新田 浩之 新田 浩之

4月1日より、兵庫県神戸市で神戸中心部~ウォーターフロント間を結ぶ連節バス「Port Loop(ポートループ」がデビューしました。「Port Loop」に使われる連節バスの長さは約18mということもあり、多くの人々の注目を集めています。今回は実際に「Port Loop」に乗車し、連節バスの活用法と課題を考えてみたいと思います。

神戸・ウォーターフロントへのアクセスに便利な「Port Loop」

神戸市は数多くの公共交通機関があることから、交通網は充実しているように思われがちです。一方、弱点は南北とポートタワーやハーバーランドがあるウォーターフロント間の交通です。そこで神戸の欠点を補うべく登場したのが連節バス「Port Loop」です。

「Port Loop」は三宮駅前からデザイン・クリエイティブセンター神戸「KIITO」へ。そこから西へ進みポートタワー前からハーバーランドへ向かいます。ダイヤは30分~60分間隔となり、三宮駅前発の運行時間は8時台~21時台です。なお「Port Loop」の運営は神姫バスが担当します。

 

百貨店「神戸阪急」前に着くと、ちょうど三宮駅前バス停に「Port Loop」が止まっていました。最初の感想は「とにかく長い」、そして「洗練されている」というものでした。なお「Port Loop」に使われている連節バスは日野自動車製の国産車です。

車内に入ると中央に接続部があることから、連節バスであることを強く意識します。乗車時は真ん中の扉から乗車、一番前の扉から降ります。

基本的に車内のレイアウトは一般バスと変わりませんが、一番後ろには4人向かい合わせの座席がありました。

10時28分に三宮駅前を出発。最初はフラワーロードを南下します。交差点では一般バスよりも大きく曲がるため、中央分離帯にぶつかりやしないか、少しヒヤヒヤしました。

「Port Loop」のハイライトはポートタワー前バス停前のUターン。グルっと半周する姿はなかなかユーモラスです。車窓からは神戸海洋博物館やポートタワーが見えます。

三宮駅前を出発して20分ほどで「モザイク」や「神戸アンパンマンこどもミュージアム」があるハーバーランドに到着しました。筆者が乗車した日は平日昼間ということもあり、車内は10人ほど。それでも降車後、スマホなどで「Port Loop」の撮影に励んでいました。

従来、三宮から「KIITO」へは20分ほど歩く必要がありました。一応、阪神バス「神戸税関前」や神戸市バス「税関前」からもアクセスできますが、運行本数の少なさやバス停の位置の問題から利便性が高いとは言えません。また「KIITO」からポートタワーやメリケンパークへのバスの本数は少なく、ウォーターフロントエリアで観光名所をはしごするのは簡単なようで難しいのが実態でした。

そのため観光名所を効率よく回る「Port Loop」は本当に便利です。また「KIITO」~新港町~ポートタワー間は喫茶店も少ないことから、夏には大いに重宝すると思います。

課題はあるが期待は大きい日本の連節バス 

ところで筆者はヨーロッパへよく行きますが、大都市であれば必ずと言っていいほど連節バスを見かけます。もちろん連節バスを撮影する人はいません。それでは、なぜ日本では連節バスが少ないのでしょうか。

ひとつには法律の問題があります。現行の道路法、道路運送車両法ではバスの長さは12mと定められています。全長18mと法律の枠を超える連節バスは個別対応となり、ルートも含め自治体や警察と調整しなければなりません。

またバス停の設置も一般バスと比べると難しいように感じます。連節バスのバス停をつくるには一般バスよりも広いスペースを用意しなくてはなりません。「Port Loop」のバス停の数は比較的少なく、ポートタワー前バス停は循環バス「シティー・ループ」のバス停から少し離れたところにあります。「Port Loop」を見る限り、バス停の設置に関しては融通が効きにくいという感じでしょうか。

一方、一度で大量の乗客を乗せられることから、運転士不足の切り札として連節バスの導入が進んでいます。また国産の連節バスも登場したことから、以前と比べると導入しやすい環境が整ったといえます。もしかすると、あなたの街に連節バスが走る日も遠くないかもしれませんよ。 

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