聴覚障害を持った人にとっての字幕の重要さをつづった漫画「きこえにくい映画とお笑いの話」がSNS上で大きな注目を集めている。
この作品を制作したのは「大丈夫マン」(ナナロク社)などで人気の漫画家、藤岡拓太郎さん(@f_takutaro)。作品はこれまで特に公開していなかった自身の感音性難聴を明かし、字幕が無いために興味があっても観ることのできない映画やテレビ番組が多くあることをうったえる内容。
日本語字幕とバリアフリー字幕の違い、映画館での字幕付き上映の少なさ、聴覚障害者に配慮しDVDに字幕を付けるようになったサンドウィッチマンの取り組み、自身もALS(筋萎縮性側索硬化症)で自分で本のページをめくれない読者のために自著の電子書籍化を決めたことなど障害者とエンターテインメントの関わりについて幅広く紹介し、そのボリュームはSNSで無料公開する作品としては異例の15ページにもおよんだ。
ふだんあまり注目されることのない字幕の重要さと、それがまだまだ普及していないという事実。藤岡さんの作品に対し、SNSユーザー達からは
「15年ほど前、テレビの字幕制作の仕事をしていました。あの頃はほとんど世間に知られていなかった日本語字幕だけど、誰かの役に立つことができていたのならとても嬉しい。 」
「亡き祖父が聴覚障がい者でした。今よりもっと不自由な世界を笑顔で生き抜いた明るい人でした。水戸黄門が好きだったのは"細かい台詞が聞こえなくても起承転結がわかるから"。藤岡さんの漫画を読んでなるほど、と思いました。字幕があればもっとたくさん映像が楽しめただろうなぁと思います。」
「めちゃくちゃ共感しました。難聴の母は字幕のある洋画しか見られませんでしたが、Netflixで字幕アニメに出会い今は立派なアニオタになりました。字幕は世界を広げてくれる、ついでに健聴のわたしの作品の理解度もあげてくれた(邦画聞き取りづらい)。多くの作品に字幕がついてほしいです」
「映像作品やお笑いライブ等についていけないのは自分の感性や理解力の問題だと思っていました。海外ドラマ・映画(字幕付き)に夢中になれたことをきっかけに、聞き取りにくさを抱えていると気づきました。日々、字幕に助けられています。もっと広まりますようにと願っています。」
など数々のコメントが寄せられている。
今後、生放送のお笑いテレビ番組に対して字幕配信の要望を送ったりクラウドファンディング等の可能性について打診したいと言う藤岡さん。こういったバリアフリー化が社会全体の取り組みとして強く推進されるよう願いたい。