新しい酵母や作り方などによって進化し続けている日本酒。ワインを意識した味わいの酒も増え、冷酒から燗酒まで、もともと楽しみ方も幅が広い日本酒の世界はますます多様になっている。
そんな日本酒の魅力を深く知る女性ファンたちによって広がっているのがペアリングの世界。日本酒とアテの組み合わせだ。
多彩なチーズの個性を受け止める日本酒の懐の深さ
「多種多様なチーズを受け止められるのは日本酒ならでは」と語るのは、神戸市で和酒とチーズの専門店 「SAKE FROMAGERIE 香醸」を営む山田香淑さん。
例えば、青カビ特有の刺激が苦手という人も多いブルーチーズは、ふくよかな米のうまみや甘みで優しく包み込む豊潤なお酒で。日本人にもなじみのあるモッツァレラチーズはお刺し身のようにわさび醤油と合わせ、辛口の日本酒で味わう。山田さんは、そんな楽しみ方を客に提案して、日本酒とチーズ双方の個性の魅力に気づいてもらうという。
「日本酒は蔵元のたゆまぬ努力のおかげで、ワインのような味わいのもの、アルコール度数の低いものなど洋食の世界にマッチングが広がっています。チーズはその入り口です」と山田さん。
チーズと日本酒の相性の良さは、「世界一のソムリエ」として知られる田崎真也さんも指摘している。
ワインに不向きな食材にも合う日本酒の発見
フランスのシェフやソムリエたちは、ワインに合わせにくい食材にも合う日本酒の懐の深さと出会い、日本人が気づいていないSAKEの魅力を発見し、料理の世界を広げているという。
ワインに不向きな食材と言えば、生魚を思い浮かべるが、他にもいろいろあるそうだ。その代表が卵料理で、ワインの保存料に使われる硫黄化合物と卵に含まれる硫黄との相性が悪さが原因らしい。
最高峰の酒米「山田錦」が生まれた最大産地である兵庫県で開かれたセミナーで、田崎さんはチーズのほかチョコレートもソムリエたちを悩ませる食材であることを、エピソードを交えながら紹介していた。
山田さんはチーズと日本酒の相性の良さについて「同じ発酵食品同士でアミノ酸が豊富なことから合わせやすい」と話す。
「私はこのアテに、この日本酒」 3月12日に日本酒ウェビナー
女性たちが広げるペアリングの世界をテーマとした日本酒ウェビナーが3月12日19時から開かれる。
チーズと日本酒の組み合わせ方を提案する山田さんの話の後、オンライン参加者と乾杯。続いて、各界の日本酒ファンがお勧めのアテと酒の組み合わせについて語り合う。
司会を務めるフリーアナウンサーの野村朋未さんは、出身地の宇治市自慢の抹茶チョコレートと合う日本酒について語る。「薫画伯」「のんべえ画伯」の愛称で親しまれるボールペン画家の橋本薫さんはVTRで出演。あぶりサバとガリを合わせた「サバガリ」について紹介する。
このウェビナーは、コロナ禍で減産に追い込まれている山田錦などの酒米と酒蔵の日本酒を飲んで応援する連続企画。クラウドファンディング「エールファンド」のウェブサイト(https://kobe.en-jine.com/projects/webinar-konoate)で日本酒やチーズセットなどを購入すると参加できる。