新型コロナ感染で氏名公表の市議に心ない言葉…「正しく恐れることが大事」

天草 愛理 天草 愛理
オンラインで取材に応じる星野市議(画像の一部を加工しています)
オンラインで取材に応じる星野市議(画像の一部を加工しています)

 12月6日、病院へ向かった。隔離施設に到着すると、入り口が封鎖されていた。電話で到着を知らせると、入り口が解錠された。用意されたのは12畳ほどの広さの個室。1フロアに約10室あり、半数ほど埋まっていたようだったが、他の入所者の姿は食事を棚まで取りに行くときに見かける程度だった。

 12月9~11日、せきが出た。ひどいときは15分に1回以上のペースでせき込み、3日間は寝ていたという。星野市議は「首と背中の付け根の辺りが痛くて『変なところが痛いな、普通の風邪じゃない』と思った。これまでに経験したことのないせきで、気味が悪かった」と振り返る。

 せきとともに血たんも増えた。入所前に薬を持参するように言われていたため、持ち込んだ市販の漢方薬を飲んでしのいだ。「死後の準備ができていないから死んだときは困るな」と覚悟する瞬間もあった。隔離施設に看護師などはおらず、健康状態はタブレット端末で数値を記録し、送信していたという。

 12月12日に退所する予定だったが、せきとたんの症状があったことから「3日間、完全に症状がない状態でなければ退所できない」と延期になった。会期中の市議会12月定例会が気がかりだった。人と接触することのない孤独な時間だったが「病院のスタッフがお弁当に手紙やマスク入れを入れてくれて『落ち込まれてないですか』と心のケアもしてくれた」と感謝する。

 12月16日に退所する際は感染拡大防止のため、シャンプーやボディーソープ、シーツ、バスタオルなどを全て捨てるように指示された。

 星野市議は7日間の自宅療養を経て、12月24日に復帰した。寒さが厳しい日はたんが出るようになったといい、「コロナに感染したことと関連があるかもしれない」と不安を漏らした。

 仕事柄、新型コロナウイルスの感染が公表されたことで差別を受けるのではと危惧していた。体調を気遣う声が多い一方、市民に退所のあいさつをした際に「感染しないでしょうね」などと心ない言葉を浴びせられることもあった。

 また、身近に感染者が確認されたことで「家族が感染していないか心配だ」と知り合いから電話やメールで相談されることもある。星野市議は「みんな、すごく怖がっているが、正しく恐れることが大事。なってみないと分からないので、この経験を広めたい」と語った。

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