注文殺到の全部入り音楽プレーヤーに「MDがハブられている」とツッコミ…メーカーにスルーした理由を聞いた

杉田 康人 杉田 康人

兵庫県神戸市内にあるメーカーが、通販サイトなどを通じて発売している「ダブルCDカセット・マルチレコードプレーヤー」(3万9800円、税別)が、人気を呼んでいる。

レコードプレーヤーとカセットデッキ、CDプレーヤーなどが内蔵され、レコード、カセットテープからCDやUSBメモリー、SDカードへの録音など可能な1台。収集したレコードやカセットテープを聴きたいが、再生する機器がない…という人には待望の1台になっている。

発売元のDCTによると注文が殺到し、生産国の中国からの入荷待ちで発送が4月になるほどの人気だという。アナログレコード、カセットテープという昭和のアイテムと木目調のデザインが微妙にマッチ。昔のラジカセのような“全部入り”の機能が、興味をそそっている。

SNS上では「サブスクで音楽聴いてる場合じゃない」

SNS上では「夢にみた機械」「サブスクで音楽聴いてる場合じゃない」などの声が上がったが、やはり多かったのは「MDは?」「MDどこ」「MDがハブられている」と、同製品で(ミニディスク)が、完全にスルーされていることへのツッコミが入れられていた。

MDは1992(平成4)年に製品化された光学ディスク記録方式のデジタル録音・再生メディア。カーオーディオに搭載されるなどカセットテープに代わる録音媒体として国内で一時期普及したが、CDほどメジャーにならず。iPodの登場など、音楽のデジタル配信化の流れに埋没。音楽をスマホで聴く時代に、MDはなかったことになっている感がある。

DCTの担当者は、製品にMDの機能を入れなかった理由について「MDの需要がなかった。製品の企画段階で、MDの機能を入れようという意見も出なかった」と、スルーした理由を説明する。ユーザーからも“抗議”はなかったといい「1件だけ、MDプレーヤーをつなぐにはどうすればいいかという問い合わせが来ました」と明かした。

製品にMDの機能を入れるのは、技術的には可能としながらも「今後も予定はありません。その分、価格が高くなってしまうので。MDの機能を望む声が大きくなれば、社長も考えます」とした。やはりMDは、忘れられた存在なのだろうか。

MDプレーヤーは絶滅?

国内で唯一、MDプレーヤーを生産していた音響機器メーカーのティアックは、2020年3月をもって生産・販売を終了。国内では“絶滅”カウントダウンに入った。「MDデッキの生産・販売が終了することが一部メディアで報じられた時は問い合わせが多くありましたが、ここのところはありません」(ティアック担当者)と話す。同社では、MDをデータ化するなどのサービスを行っているという(有料)。

レコードはもとより、新しい音楽の楽しみ方としてカセットテープにまで脚光があたる時代。部屋の隅でひっそりと積み重ねられたMDディスクから、再び音が出る時はやってくるのか?

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