架空のブランド「楽通の支店」にバーチャルショールーム?!印刷会社が奇想天外な発想でコロナ後に挑む

國松 珠実 國松 珠実

ある会社が、先月からユニークな取り組みを始めた。

全国の印刷会社と協力してリアルとバーチャルのショールームを作り、印刷会社は、その町の中小企業に寄り添い支えるという。いわば企業のかかりつけ医になろうという「47都道府県楽通支店化プロジェクト~全国の印刷会社で日本を元気にする~」だ。始めたのは広告代理店「感動会社楽通」(兵庫県姫路市)。社長の田村慎太郎さんに話を聞いた。

 ショールームに困りごと相談…お客を呼び込む印刷会社へ

 今回のプロジェクトに賛同した印刷会社は、まず「楽通の支店」という架空のブランド名を使い、事務所にショールームとカフェを兼ねた「楽cafe」を設置。企業をはじめ顧客に役立つ印刷物や広告の事例などの資料を置き、お客様が自由に閲覧できるようにする。またウェブサイト上に、楽通バーチャル支店も立ち上げる。そこを入口に、お客さまの困りごとを解決するのだ。

また楽通と各支店同士で情報交換や勉強会、さらに各社が持つ独自の商品やサービスを全国の各支店で販売したり、プレスリリースの発信など、一社だけではハードルの高い、さまざまな挑戦をしていくという。

 しかし印刷会社といえば、昔からチラシやポスターなどの印刷物の注文を受けて制作するといった受け身のスタイル。今回の取り組みは、それとは180度違う。

 顧客のニーズを超える提案を

 近年ネット印刷の普及に加え、新型コロナの影響で、印刷会社も経営戦略の見直しを模索している。しかしどうすればいいのかわからない、社員と一枚岩になれないなど、さまざまな事情で一社だけでは改善が難しい側面がある。

そこで田村さんは、仕組み作りに着手した。各会社の強みを共有して協業する仕組みを整えれば、一人で悩む経営者の助けになると考えたのだ。そしてできたのが、今回のプロジェクトだ。

長く楽通が実践してきた「攻める営業」、「寄り添う営業」スタイル。名付けて「楽通流」を全国の印刷会社に広め、中小企業に役立つ印刷会社を増やすプロジェクトが発動した。

 田村さんは印刷会社出身で、営業で鍛えられた経験もある。「受け身のスタイルから攻め、そして顧客に寄り添うスタイルへチェンジできれば、苦境は必ず乗り越えられる」という。
現在、印刷業界はもちろん、業界以外の人にもこのプロジェクトを支援してもらうため、クラウドファンディングに挑戦中だ。

 これからの印刷会社に必要なのは、提案力という田村さん。そして印刷会社はそれができるという。
「中小企業は、自分たちの経営目的やその達成のために、トータル的なサポートを望んでいます。印刷会社は長年の経験や実績で、それができるはず。さらに彼らのニーズを超える提案ができれば、感動が生まれます。役立つ社会の実現に向けて、楽通流を構築していきたい」と語る。

 現在、全国の「楽通の支店」は10件。すでに支店長会議も開催されている。全国の印刷会社から日本を元気にしたいと力強く語ってくれた。

■感動会社楽通株式会社ホームページ http://www.rakutsu.jp/
■楽通47都道府県プロジェクト!!日本を元気にするのは俺たち印刷業界だ!(~2/28)
https://camp-fire.jp/projects/view/366454

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース