米国の大手スーパーマーケットが、新型コロナウイルスのワクチンを接種した従業員に100ドル(約1万500円)のボーナスを支払うと発表した。
米国中西部オハイオ州に本社を置くチェーンスーパーマーケットの「クローガー」は、新型コロナワクチンのメーカーが定めた回数を接種し、接種証明を人事担当者に提示した従業員全員に100ドルを支払う。ただし、従業員に必ずしもワクチンの接種を求めるものではなく、接種するかどうかは各従業員の判断に委ねている。医療上または宗教上の理由でワクチンを接種できない社員は、健康と安全のための教育コースを修了すると、同じように100ドルを受け取ることができるという。
クローガー社の最高人材活用責任者ティム・マッサは「パンデミックの新しい段階に入るにあたり、社員の貢献を認めるだけでなく、ワクチンが利用可能になったときには、社員と地域の健康を最適化するために、ワクチンの接種を奨励するための投資を増やしています」とコメントしている。
米国でワクチン接種者にボーナスを与えているのはクローガー社だけではない。同じくスーパーマーケットの「アルディ」は、ワクチンを接種すると時給2時間分を支払う。また、ダラーストアであるダラー・ゼネラルでも、ワクチン接種の際には、4時間分の有給休暇を与える。
ダラー・ゼネラルでも、ワクチンの予防接種は個人の選択であり、従業員には推奨するが義務化はしない。時給で働くスタッフに4時間分の時給をボーナスとして与えるのは、仕事とその時給のために、ワクチン接種を取りやめてほしくないからだ。
「当社は職場でワクチンを接種できる体制が整っていません。従業員にワクチンを受けるか、出勤するかの選択をさせたくありません。ですから時給制のチームメンバーにはワクチン接種完了後に通常の4時間分に相当する一時金を支給し、サラリーのチームには店舗から離れていた時間分を追加で与えます。また、物流や運輸チームにも同様の便宜を図ります」と発表した。
米国ではすでにワクチン接種を開始しているが、当初予定していたほどのスピードは実現していない。従業員に対して接種しやすい状況を整える企業の動きが、ワクチン接種のペースアップに一役買いそうだ。