決して“母親失格”ではない!どーんと構えて「子どもの忘れ物」…といっても気になる忘れ物ゼロにする方法

長岡 杏果 長岡 杏果

小学生の子どもを持つ母親の悩みとストレス問題のひとつに「子どもの忘れ物」があります。母親は毎日家事、仕事、子どものお世話に…と、常に時間に追われて生活をしています。子どもが小学生になると少しずつ、自分のことは自分でできるようになるものの、どうしてもまだ親の手助けが必要になります。また小学生になると持ち物が多くなり、忘れずに持っていかせなければ!と自分のこと以上に心配になってしまい、母親の仕事も心労も増える一方です。しかし「子どもが忘れ物をして悩む」という問題の裏側には別の問題が潜んでいるような気がするのです。

母親失格?

私の友人は毎日子どもの忘れ物に悩まされる母親の一人です。子どもが小学校に上がり連絡帳の記入・宿題のチェック・明日の準備など毎日の雑事がとても増えました。さらに学校からのいわゆるおたよりには、「図工の授業で使うので家からお菓子の箱を持ってきてください」「草むしりをするので軍手を持ってきてください」などのお願いも記してあります。やることが多過ぎておたよりの内容を見逃してしまったり、確認したのにうっかり忘れてしまったり…と、気をつけていてもそういったことが起こってしまいます。

ある日、子どもの連絡帳に担任の先生からのコメントがあったそうです。内容は「忘れ物が続いています。気をつけましょう」というものでした。これが本当にやっかいなのです。このコメントを見た親は、まるで自分が注意を受けたように嫌な気分になります。最大限にストレスが溜まっているときには、「母親失格」と言われたような気分になってしまうのです。

母親は子どもが忘れ物をしないよう、とても気をつけています。時間のない朝でも、何度も確認させているのです。それでも子どもが忘れてしまうことに母親としてはもう爆発寸前です。このストレスが子どもに向かってしまうこともまた問題だと感じています。

多くの母親が同じ悩みを抱えている

通信教育会社・ベネッセコーポレーションが2017年、小学生をもつ母親約1000名に行った「小学生の忘れ物と親の関わりに関するアンケート」調査によると、5割以上の母親が子どもがほぼ毎日、週に1~2回、月に数回忘れ物をすると回答しています。

そして母親同士の話によると、忘れ物には「持って行くのを忘れる」ことに加えて、「持って帰ってくるのを忘れてしまう」パターンもあるようです。知り合いの母親は子どもが学校から水筒を持って帰ってくることを頻繁に忘れることにイライラが止まらず、「学校に取りに帰れ!」と怒鳴ってしまったそうです。自己嫌悪と罪悪感でさらにストレスが溜まってしまうと話していました。

多くの母親は子どもに「自立してほしい」「自分のことは自分でできるようになっほしい」と願っていることでしょう。その中には忘れ物をしないで学校生活を送ってほしいということも含まれています。しかし子どもが忘れ物をしてしまうことの裏側に潜む大きな問題は、忘れ物をして子どもが困ること、先生から怒られてしまうということよりも「母親が自分が失格と言われているような負の気分に襲われてしまう」ことではないかと思います。

子どもの忘れ物

「小学生の忘れ物と親の関わりに関するアンケート」調査によると、小学生の子どもの忘れ物の1位は「ハンカチ・ティッシュ」がもっとも多く、60%で過半数を占めています。続いて上靴(26%)、筆箱(21%)となっています。

上靴や筆箱がないと授業や学校生活そのものに支障がでてしまいそうですが、全体で20%台ということは決して高い数字ではありません。対してハンカチ・ティッシュは、60%ということで忘れ物の大半がハンカチ・ティッシュだということがわかります。

意外と忘れていない?

この忘れ物の統計でいえることは「意外と授業に必要なものは忘れていない」ということです。ハンカチやティッシュはもちろん忘れずに持って行くに越したことはありません。しかし、ハンカチやティッシュは大人でも忘れてしまうことがあります。そう考えると世の母親たちは子どもが忘れ物せずに、学校に行けるようちゃんとサポートをしてあげている、そして子どもも忘れ物をしないように頑張っている、ということが統計から読み取れました。

そうはいっても忘れ物はゼロにしたい

母親も子どもも毎日忘れ物をしないように気をつけていても、つい何か忘れてしまう。そしてストレスはやっぱり減らしたいものです。それでは忘れ物をしないよう家でできる対策はないかを考えてみたので紹介します。

   ◇   ◇

▽玄関のドアに持ち物リストを張る

100円ショップなどで売っているマグネットをつけることができるホワイトボードとマグネット数個を用意します。

・ランドセル
・すいとう
・れんらくちょう
・うわぐつ
・としょばっく
・ハンカチ
・ティッシュ
・なふだ

…それぞれの小学校で必要なアイテムをホワイトボードに記入して登校前に玄関で確認するアイデアです。ちゃんと持っていれば記入してある内容の横にマグネットを張っていきます。この確認方法のいいところは、子どもが楽しみながらできるという点です。忘れ物の多い小学校低学年の子だととくに積極的に実践してくれます。また玄関で最終確認ができるので、うっかり忘れにもとても効果的です。

   ◇   ◇

▽前日に必ず翌日の用意を終わらせる

前日に必ず翌日の授業で使う教科書、宿題などすべて用意しておくことで、朝のストレスを軽減することができます。朝になって名札がない、水筒がないなどと慌ててもいいことがひとつもありません。時間に余裕がないと見つかるものも見つからなくなってしまいます。前日に用意しておけば、仮にその日に学校に忘れ物をしてきてしまっていたとしても、とりあえず前日に対処することができます。ぜひこの2つの対策を試してみてください。

ストレスを溜めずに生活を

子どもの忘れ物は母親がストレスを溜める要因になり、ついつい自分の育て方が悪いのか、自分の努力が足りないのか、甘やかしているのかなどと自己嫌悪や不安に陥りがちです。しかし忘れ物をしたからといって子どもが悪いわけでありません。もちろん母親が悪いわけでも決してありません。

気をつけていても忘れてしまうことは誰にだってあります。忘れ物をしたことによって子どもは少しずつ成長し、自分で気をつけるようになります。子どもが忘れ物をしても日々子育てに頑張っている自分を責めることなく、ゆったりとした気持ちで過ごしていくことが大切です。子どもの忘れ物で頭を抱えているのは自分一人ではありません。共に頑張る母親たちと時には、うっかり忘れを笑い話にしてしまうぐらいの、余裕を持ってみましょう。

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