「この先にハトが弱っています」駅の階段に貼り紙、その先には…駅員の優しさが「心に染みる」

広畑 千春 広畑 千春

 今月15日、JR京葉線の葛西臨海公園駅の階段に、1枚の貼り紙がはられました。そこには「この先、階段下でハトが弱ってます。足元にご注意ください」のメッセージが。そして階段を進んでいくと…そこには4本のパイロン(カラーコーン)に守られ、1羽の弱ったハトがうずくまっていました。

 通勤帰りにこの光景を目にし、「いつも使う駅の駅員さん、やさしい。」とツイッターにつぶやいたのは、タダノ ケイ(@KeiTadano)さん。リプ欄には「仕事後の心に染みました…(笑)」「あくまでも自然のままに。駅員さんの心に目頭が熱くなりました」「優しい世界…!」などのコメントが寄せられています。

 JR東日本千葉支社広報グループの担当者によると、葛西臨海公園駅の駅員がハトを見つけたのは、15日午後4時ごろ。利用客から「階段の踊り場でハトが弱っている」との連絡を受けて見に行くと、うずくまって目をつぶり、ぐったりした様子のハトがいたといいます。

 「駅員は2人で、1日平均乗降客数は約2万7400人。帰宅ラッシュが始まる前に、お客様の通行に支障や危険が無いよう、ハトの存在を知らせなければ…と、何が出来るかを考えて貼り紙を階段の手すりに貼ることにしました」

 その後、業務の合間を縫って「お客様がハトにぶつからないように、より分かりやすいように…」と、倉庫からパイロン4本を出してハトの周囲に。さらに、野生動物には基本的に触れてはいけないと知っていたため、東京都環境局のホームページなどを参考に対処方法を検索。業務が落ち着いた頃合いを見計らって駅構内の隅に段ボールで即席の鳥小屋を作り、保温のためティッシュや、お湯を入れたペットボトルなどを詰め、一時的にハトを中に入れて保護し、交代で様子を確認していたといいます。

 駅名の通り、緑豊かで広大な臨海公園の最寄りのため、同駅周辺には元々ハトが多く、駅員もこまめにフンの清掃などを行わなければなりません。「確かにいつも掃除は大変ですが、とはいえ、そこはやはり生き物ですから…。人間として、見逃せない…と言ったら大げさでしょうか。でも、そんな思いで対処させて頂いた―と聞いています。お客様からも『かわいそうなので何とかしてあげて』『何か私にも出来ることはありませんか?』というお声も頂きました」と広報担当者。

 その甲斐あってか、その日の夜になってハトは元気を取り戻し、駅員が臨海公園に帰したといいます。

 ツイートした、タダノさんによると「何度か落とし物の相談をしたことがありますが、いつも優しく対応してくれます。他の都心の駅よりは温かな印象です」とも。広報担当者も「元気になって、本当に良かったです」と喜びます。

 駅員さんの優しさに包まれて元気になったハトはきっと今も、空を飛び回っているのでしょうね。

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