「海が空っぽになってしまった」…先住猫の相棒にと迎えた猫を襲った病魔 本物の姉弟のようだったのに…

渡辺 陽 渡辺 陽

愛知県に住むUさんは、先住猫きなこちゃんが1匹で留守番するのは寂しかろうと2匹目の猫を迎えることにした。譲渡サイトに掲載されていたのは海岸で保護された海くんだった。先住猫は海くんに対面すると、シャーっと言って怒った。

先住猫の相棒を探す

2017年5月5日、愛知県で保護猫活動をしている人が海に遊びに行った時、猫がうずくまっていた。近づいても、猫は逃げもせずじっと見つめてきた。保護主は、「うちにくる?」と話しかけ、そっと抱き上げて連れ帰った。

その頃、愛知県に住むUさんは、先住猫のきなこちゃんが1匹だけで留守番するのは寂しいのではないかと思い、2匹目の猫を迎えることを考えていた。譲渡サイトで検索すると、海岸で保護された猫の里親を募集していて、Uさんは一目見て気に入った。てろ~んと伸びて寝ている姿が印象的だったという。海で保護されたので、海という名前がつけられていた。

きなこちゃん、初めてのシャー!

2017年7月31日、保護主さんが家に連れてきてくれた。第一印象は「ちっさ!」。きなこちゃんは生後7カ月くらいの時に迎えたが、海くんは生後5カ月くらいだったので、本当に小さく見えた。

海くんを見ると、普段はおっとりのんびり屋さんのきなこちゃんが、初めて「シャー!」と威嚇した。

「私たちは、きなこも『シャー』言えたんだ!と驚きました」

きなこちゃんは海くんを見てシャーシャー言い続けた。しかし、海はそんなことお構いなし。家中を楽しそうに見て周り、探検した。きなこちゃんにちょっかいを出しては、シャーシャー言われていた。しかし、翌日にはキャットタワーの一番上と一番下にいたという。

1週間後には2匹仲良くタワーに登っていた。それ以降、2匹は本当に仲良くなり、一緒のベッドに同じ格好で寝たり、一緒に外を眺めたりしていた。

海くんとのお別れ

海くんは、やんちゃで甘えん坊。好奇心旺盛で、掃除機が怖いくせに戦いを挑んでいた。

Uさんにべったりで、Uさんがいるとずっと後をついて回るストーカー状態、寝る時も『寝るよ〜』と声をかけると駆け寄ってきて、Uさんのベッドで一緒に寝た。

きなこちゃんは海くんが来てから毎日本当に楽しそうだった。ただ、海くんは2018年の年が明けてすぐにFIP(猫伝染性腹膜炎)に罹患して1カ月の闘病生活を送り、2月5日虹の橋へと旅立った。1カ月間の闘病中、きなこちゃんはいつも海くんに寄り添い、家族一丸となって病と闘った。

海が旅立つ前日は一晩中家族で見守った。明け方、海くんはヨロヨロで立つこともままならなかったが、突然立ち上がり、一部屋一部屋確認するように見て周り、最後にきなこちゃんの前に座り込んでしばらくじっと見つめ合った。それはまるで言葉のない会話を交わしているようだった。 

夜が明け、海くんは痙攣を起こした。最後は、Uさんの腕の中で静かに魂が抜けていくように旅立った。

Uさんは、「海が空っぽになってしまった」と感じた。きなこちゃんは、海くんの死を理解しているようだった。Uさんは、海くんを思い出すと涙してしまう。

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