ピンクのマスクに「恥ずかしくないよ」…小学生男子の声に耳を傾けた台湾政府 日本と異なるコロナ対策

渡辺 陽 渡辺 陽

大みそかには新規感染者数が東京都だけで一日1000人を超えるなど、さらなる感染拡大が懸念されている新型コロナウイルス。首都圏で緊急事態宣言の再発令が検討されていますが、同じコロナ禍にあっても、台湾では政府と国民の関係が日本とはまったく異なるそうです。台湾で、台湾人の夫と暮らす葛井愛(以下、葛井)さんに話を聞きました。

コロナ禍、政府関係者や専門家がピンクのマスクをして登場

コロナ禍、日本ではマスクが不足し、混乱していたが、台湾では国民全員にマスクが行きわたるよう、実名制(本人確認をした上で配布)で不織布マスクが配布されました。しかし、好きな色やサイズを選べるわけではなく、ブルーや白ではなく、ピンクのマスクをつけなければならないこともあったといいます。

男子小学生の保護者からは、「ピンク色のマスクでは、子供が小学校に行くのを嫌がる」という声が相次ぎました。マスクが手に入るだけでも有難い、そんな時期でしたが、政府はこの声を無視しませんでした。2020年4月13日に行われた中央感染症指揮センターの記者会見では、指揮をとる陳時中衛生福利部部長をはじめ、政府関係者や専門家がピンクのマスクをして登場。陳部長は、「ピンクも悪くない。マスクは色よりも、ウイルスから身を守る機能が大切」と呼びかけました。

いま何をすべきなのかが具体的に示される

蔡総統もインスタグラムに「ピンクは女性だけでの色ではない」と投稿。他の閣僚も相次いでピンクのマスク姿で公式の場に現れ、指揮センターの考えを支持。さらに政府機関のフェイスブックのアイコンもピンクに変えられ、野党の国民党もこれに追随しました。

葛井さんは、

「実際には、ピンクのマスクをつけて登校して、学校でからかわれた子供もいるそうですが、こうした政府の対応は、常に国民が取るべき行動を具体的に明示するという点で、台湾人らしいと感じました」

「政府の衛生部は、毎日定時に生中継で国民に向けた記者会見を行います。コロナに関する情報がいち早く明確に国民に示され、国民が何をすべきなのか手に取るように分かるのです。国民は余計な不安を抱くことなく、自らを守る行動を進んで取っています。日本のようにピリピリした感じはありません」と、言います。

コロナ禍でも安心して暮らせる台湾

コロナ禍にあっても台湾では安心して暮らせるそうですが、制度は非常に厳しく、水際対策も徹底して行われているそうです。

2020年12月22日にニュージーランド国籍のパイロットが、台湾で4月12日以来、初めてのコロナ感染者として確認されましたが、台湾当局は、速やかにパイロットが訪れた台北周辺のリストを公表。そこを訪れた人に対して健康管理を行うよう注意喚起したそうです。パイロットは、接触した人物や訪れた場所を正確に報告しなかったので、台湾の伝染病法に違反した可能性があると追及されています。

「台湾は小さな国なのでコントロールしやすいとも言われますが、人が思うこと、感じることはどの国でも同じです。守ってもらえているという安心感から信頼が生まれ、国民も政府の方針に従って、我慢すべきところは我慢できるのです」と語る葛井さん。台湾では、人に対する温かさや周りの人を守ろうとする国民性を、さまざまなシーンで感じると言います。

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