70年経ったらどうするの? 中国人に聞いてみた
―土地使用権の期限が来たら、どうなるのですか? 家を出ていかないといけないのですか?
「土地使用権は更新できるはずです。でも中国で個人が家を買えるようになったのはここ20~30年のことだから、まだ70年の期限が切れた人がいないと思います」
―更新料はありますか? その額は決まっていますか?
「更新料はわからないですね。でもうちの期限が来るのはまだ先の話。住み続けたとしても、たぶん私はこの世にいないと思うので子孫に任せます」
―土地の使用期限があることに不安や不満はないのですか?
「中国では土地は国のものですから。仕方ないですね」
◇ ◇
話を聞かせてくれた中国人女性は土地を所有できないことを「そういうものだ」と受け入れているようだった。
1978年以前、改革前の中国では住居は国家から分配されるものだった。その後、分譲住宅の流通が段階的に始まり、1998年に全面化。全面化以前は土地の使用権を20年や30年という短い期間で定めた地域もあったものの、中国の近年の不動産ブームで家を買った人にとって70年はまだかなり先のことだ。
新しい法律で「自動更新」と明記 / 更新料の減免にも言及
さて中国では2021年1月1日に施行される民事法を体系化した「民法典」で、土地の使用権について以下の条文が盛り込まれて注目されている。
「住宅建設用地の使用権が期間満了になった場合、これを自動更新とする。更新料の納付、また減免については法令や行政規定に準じて取り扱うものとする(359条)」
従来の法律にも住宅用の土地の使用権は「自動更新」と規定されていたが、新法ではさらに更新料や納付方法にも触れられた。民法典に記載されたことで、更新料についての議論が進むことが期待できるだろう。さらに有識者が、長期の使用期間に対し当初に十分な土地使用権料を払っていた場合は、将来的に更新料が少額、もしくは全額免除になる可能性を指摘したことで安心感が広がった。
さて日本では、数年前から中国人による「土地の爆買い」が注目されているが、中国人が海外で土地を取得する理由の1つは、やはり「中国では土地の所有権がないこと」だ。そのなかで外国人の土地の購入に特別な制限がない日本は狙い目だったと言える。だが、もし今後、中国における土地使用権の更新料が全額免除になり、実質的な所有に近づいたら……「資産保全のために外国の土地購入する」という意識にも影響が出るかもしれない。