ショートケーキの「ショート」の意味分かりますか?…「小さい」「短い」ではありません<スイーツ業界編>

おもしろ業界用語

平藤 清刀 平藤 清刀

今年もクリスマスが近づいてきた。その由来を知っている人も知らない人も、ケーキを囲んでワクワクソワソワする季節。よく耳にしてはいるけれど、その意味まで知っているかと問われると自信がないであろうスイーツ界の用語を集めて、製菓会社に勤めるYさんにご教示願った。

「ショートケーキ」は「小さくカットされたケーキ」という意味ではない

日ごろはダイエットに余念がない人も、クリスマスだけは罪悪感が薄れる(?)せいか、「今日は特別」とケーキを食べる。でもやっぱり気になるから「ショートケーキ」1個で我慢しておくという人もいる。

「ショートケーキって、小さいケーキのことだと思っているでしょう? じつは、そういう意味じゃないんですよ」

一般的に「ショートケーキ」は、スポンジケーキに生クリームを塗ってイチゴをのせ、ホールの中心線から放射状に切り分けたイメージだが……。

「ショートケーキの『ショート』は本来『サクサクした』という意味です」

サクサクよりフワフワの食感しかイメージにないけれど、「短い」「小さい」「カットされた」という意味ではないという。

「そういう意味では、ホールのショートケーキがあってもおかしくないのです」

では「カットされたケーキ」はなんという?

「ショートケーキ」がカットされたケーキの意味ではないとすると、カットされたケーキを表す用語が別にあるのだろうか。

「あります。『プティガトー』とか『プチガトー』と呼ばれて、『一人前サイズのケーキ』のことです」

切り分ける前を「アントルメ」といい、同じ言葉で食後のデザートを意味することもあるという。

デザートといえば、食事の最後に提供されるお菓子だが、これはフランス語の「デセール」に由来している。ちなみにイタリア語では「ドルチェ」という。

デザートは食事とセットで提供されるけれど、スイーツだけを提供するお店を日本では「パティスリー」と呼ぶことがある。

「パティスリーは菓子店の意味でも使われますが、もともとはフランス語で『お菓子』の総称です」

同じ意味で、イタリア語だと「パスティッチェリア」というそうだ。

スイーツと飲み物を楽しめるお店を日本では「カフェ」と呼ぶが、フランスで「カフェ」といえば食べ物は提供しておらず、飲み物だけらしい。スイーツと飲み物を一緒に楽しむお店は「サロン・ド・テ」と呼ぶのだ。

そして洋菓子づくりをする職人を、男性は「パティシエ」、女性は「パティシエール」と呼ぶ。

「チョコレート菓子の職人には、また別の呼び方があります」

それが「ショコラティエ」で、チョコレートの専門店を「ショコラトリー」というのだそうだ。

本場のプリンは日本のプリンとは別物

コンビニでも手軽に買えるプリン。正式には「カスタード・プディング(Custard pudding)」という。「プリン」は「プディング」が日本流に訛ったいい方だ。

「カラメルシロップがかかったプルプルの可愛いイメージがありますけど、本場イギリスのプディングは違います。牛乳と卵を使うところまでは日本と同じですが、パン粉や小麦粉にフルーツ、ナッツ、肉の脂身を練り込んでヘビーな仕上がりになります」

主に牛乳と卵だけでつくられる日本式のプリンとは別物で、スイーツというより料理に近いかもしれない。

最後に、ひと言で説明できる言葉を4つばかり解説してもらった。

 

▽ジュレ……「ゼリー」のこと。最近はフランス語の「ジュレ」が一般化しているようだ。ほかに「ジェル(英語)」や「ゲル(ドイツ語)」も意味は同じ。

▽ガトー……「焼いた生菓子」を意味するフランス語。

▽ガレット……丸くて平たいお菓子または料理。クレープは「ガレット」だ。

余談ながら「お好み焼きは日本のガレットか?」と調べてみたら、「ガレット風お好み焼き」と称する料理のレシピが多数あった。もちろんスイーツではない。

▽サブレ……バター風味が引き立つ、サクサクした食感のクッキー。

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