―鬼殺隊と八家将の共通点にはいつ気づかれましたか?
「鬼滅のテレビアニメ版を見たときにインスピレーションがありました。 鬼退治は廟会文化の一部分だと言えます。その後、劇場版を見て八家将と鬼殺隊との共通点をまとめてみようと思いました。でもこんなに反響があるとは思わなかったです」
―シェアの勢いもすごかったですね。ネットユーザーからは具体的にどんな反応がありましたか?
「『ユーモアがあって面白い』という声もあれば(八家将に闇社会を匂わせたことで)『台湾文化を侮辱した』という批判の声もありました。どちらの意見もわかります。
台湾の廟会には文化的な価値がありますが、同時に闇社会とのつながりの噂があります。それは台湾人なら誰でも知っていることです。そこで私は廟会の持つ良いイメージと悪いイメージを全てをネタ画像の中に取り入れました。ふざけたようなネタですが、これをきっかけに『文化とはプラスとマイナスの両面を持つものだ』という議論が真面目に進めばいいと思います。
こういった議論を進めるとき、皮肉や風刺がテーマへの理解を進める助けになるものです。なので私への批判的な意見はむしろ歓迎します」
―文化部(文化庁に相当)も投稿に注目しています。廟会や文化についての議論が広がっていますね。
「文化部の解釈は素晴らしいと思います。文化部は私の投稿にこめた思いを読み取ってくれて、文化部の投稿は、より多くの人が台湾の独自文化への理解を深めるきっかけになりました。とても良いことだと思います」
―ところで八家将の将軍はそれぞれの役割や性格を持っていますが、将軍の中に『鬼滅の刃』の鬼殺隊に似ている人はいると思いますか?
「八家将と鬼殺隊は、『鬼を退治する組織であること』『組織の規律が似ていること』を除くと、似ているところを挙げるのは難しいです。でもネットユーザーみんなでいろいろと想像することはできると思います」
と、投稿の裏に隠された思いを語ってくれた。
さらに、
「私にこのようなインスピレーションを与えてくれた『鬼滅の刃』に感謝しています。コミュニティは非営利で皆で楽しむ場なので、このように話題になったことで何かが変わることはありません。
しかし、皆さんに台湾独自の文化をもっと知ってほしいという願いは変わりません。そしてその文化の背景にある社会問題についてたくさんの議論が起きると嬉しいです」
とし、また『鬼滅の刃』が大ヒットするなか、台湾のアニメや漫画制作の現状について、
「今、台湾は日本のようなアニメや漫画の創作環境や市場がありません。台湾発の漫画が国際的に知られる機会はないと言えます。でも台湾にはたくさんの漫画があるんです。たとえば野球漫画で知られる『蠢羊與奇怪生物』さん、SNSで人気の『謝東霖』さんなど彼らの作品はとても面白いと思います。海外での台湾人漫画家の活躍を願っていますし、同時に台湾でももっとアニメが作られるようになってほしいです」
と、思いを語ってくれた。「台灣迷因 taiwan meme」の中の人からは、ユーモアがある一方で思慮深い人物という印象を受ける。今後、コミュニティから繰り出される風刺を見れば今の台湾を知ることができるかもしれない。そんな「台灣迷因 taiwan meme」から最後に日本の読者に一言伝えたいことがあるという。
「それにしても、禰豆子は本当に可愛いですよね!」
日本の鬼滅ファンとも話が合いそうだ。