「招き猫って本当にいるんだな」…手のひらに収まるほどの子猫を迎えて知った、優しい気持ちで満たさせる日々

渡辺 陽 渡辺 陽

埼玉県に住む斉藤さんは、生後8カ月くらいのビアちゃんという猫と暮らしていた。ビアちゃんに猫と暮らす楽しさを知ってほしいと2匹目の猫ピクルスちゃんを迎えたら、保護猫に対する考え方まで変わったという。

よちよち歩きの子猫

2020年4月初旬、東京都東小金井市で活動する猫の保護団体は、地域猫が出産した子猫2匹を保護、母猫はTNRした。子猫たちは体重300g前後、生後2~3週間くらいだった。まだ小さ過ぎてちゃんと歩けず、ハイハイしていたそうだ。

4月中旬、埼玉県に住む斉藤さんは、友人から「保護団体から子猫を保護したという情報が入ったよ」と連絡があり、お見合いに行った。新型コロナの緊急事態宣言が発令されて数週間が経った頃で、外出が難しかったが、友人の計らいで車を出してもらったという。

斉藤さんは、2019年12月、ビアちゃんという保護猫を迎えたが、ビアちゃんの遊び相手が欲しいと思っていた。ビアちゃんは、野良猫の母猫が産んだ子だったが、子猫の時に母猫とはぐれ、唯一の兄弟ともはぐれてしまったので、斉藤さんは、ビアちゃんにどうしても猫と暮らす楽しさを知ってもらいたかったのだ。 

子猫はビアちゃんに初めて会った時よりももっと小さく、手のひらにすっぽり収まるサイズで、よちよち歩きだった。

「抱っこした時、ビアと遊ぶ姿が頭に浮かんで即決でした!そろそろビアの遊び相手を迎えたいと考えていた時に舞い込んできた子なので、ご縁を感じました」

先住猫ビアちゃん、初めてのシャー!

2020年5月17日、斉藤さんの友人が保護団体の代表を車に乗せ、斉藤さん宅まで子猫を連れてきてくれた。

ビアちゃんは子猫を見て、初めてシャーと言い、唸りながらソファの裏に隠れてしまった。人間たちは「最初だもんね、仕方ないよね」と笑って、ビアだけがむくれていた。子猫は状況が分かっていなかったのか、ケロッとしていて、むしろビアと遊びたいように見えた。人に対しても怯える様子は全くなく、初日からリラックスしていた。

お酒の名前にしようと思ったが、そういう感じの子猫ではなかったので、ビールに合うおつまみにちなんで、「ピクルス」という名前にした。

ピクルスちゃんは、まだワクチン接種前だったので、迎え入れた初日から約1カ月間はケージで隔離生活をした。ストレスがたまらないよう、1日2回、2階にあるベッドルームで遊びの時間を設けたという。

猫と暮らして優しい気持ちになれた

ビアちゃんはピクルスちゃんが来てからものすごく優しくなった。ピクルスちゃんだけでなく、斉藤さんにもグルーミングをしてくれる。

ピクルスちゃんは、名前を呼ぶとニャッと返事をしたり、ボールを投げると持ってきたりする。

「もしかして犬なの?と思うことがあります(笑)。甘え方もストレートで、抱っこしてと駆け寄ってきて、可愛いんです」

ビアちゃん、ピクルスちゃんと暮らして、犬派だった斉藤さんはすっかり猫派になった。猫がいない生活はもう考えられないという。

「今までは私がかわいそうな猫を助けてあげるんだと思っていましたが、猫を飼い始めてからは、私が猫に助けられているんだと思うようになりました。毎日いっぱい遊んで、ごはんを食べて幸せそうにしているビアとピクルスを見ていると、優しい気持ちで満たされるようになりました」

2匹を迎え入れてから、不思議な縁を感じる人たちとの新しい出会いが増えたという斉藤さん。「招き猫って本当にいるんだな」と思っているそうだ。

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