IT会社がAIでビールを作る!? クラフトビール醸造所とコラボし、オリジナルビールが誕生

桑田 萌 桑田 萌

 味や香り、細部までこだわり抜かれた「クラフトビール」。数ある原材料を組み合わせ、いかに優れた「逸品」を生み出すのか、それは醸造する職人の五感にかかっている。そんなプロの技術にAIの力を合わせてみると、どんな味が生まれるのだろうか?大阪のとあるIT会社が醸造所と協力して、挑戦を始めた。

 そのIT会社の名は、株式会社Mountain Gorilla(大阪市西区)。同社は企業向けシステム製品の開発・販売を行っている。今回クラフトビールの製造に「AI」の力を与える大切な役割を果たす。

 同社とコラボレーションするのは、ブリューパブスタンダード。食事を提供するレストランと、ビールを作る醸造所を兼ねた「ブリューパブスタイル」を取っている。

 IT会社とビール醸造所、異色な2社がどうしてコラボすることになったのか?

 そこには、こんな背景がある。ブリューパブスタンダードでは、かねてからMountain Gorillaのサービスを利用してきた。システムを導入することで、今まで手書きやエクセルで行なっていた仕込み日報、材料・生産管理などの細かい作業が、タブレット一つで簡単に行えるようになったという。そして大幅に時間を短縮できただけでなく、データで可視化することで、来店客の趣向、どんな材料を使えば売れるのかといった分析までもが可能になったそう。

 そこで、同社の井口一輝社長は、こんなことを思いついた。「うちのシステムを活用したら、もっとビールの“おいしさ”を追求できるんちゃう?」

 つまり、今まで人の力だけで行ってきたビールの醸造に、AIの力を借りるということ。ブリューパブスタンダードにレストランが併設されている強みと、コンピューターで蓄積したデータを生かし、お客様の声を吸い上げる。また教育機関と連携して、年代・性別・趣向などに分類して「20代女性、お肉好き」「50代男性、野菜好き」などとそれぞれの好みを地道に調査していくとも。そうして独自の「おいしさ」を追求していくそうだ。

「弊社はシステム開発に強いので、常々『データで何かを作る』ということに興味があります。そこに、ビール作りのプロとマーケット戦略に強い学生と組むことで、いろんな力が合わさる。どんな “おいしい”が生まれるのか、楽しみです」(井口社長)

 彼らはまず、第1作目としてMountain Gorillaオリジナルの「ゴリラービール」を完成。「ゴリラといえば」からイメージを膨らませ、「黒色」「ゴリラはバナナが好きそう」といった要素を盛り込んだクラフトビールができあがった。

 また、Mountain Gorillaとブリューパブスタンダードは、共同で「一般社団法人ALFHA」を立ち上げ、今後は全国のブリューパブスタイルの店舗に、データ管理システムを導入させる予定。「AIを使った新しいクラフトビール」が続々と生まれるに違いない。

 「デジタルが発達したからこそ実現できるビールの作り方です。新しいスタイルのビールをお楽しみにしていてください」

■株式会社Mountain Gorilla:https://mountain-gorilla.co.jp/
■ブリューパブスタンダード:https://brewpub.co.jp
■一般社団法人ALFHA:https://alfha.jp/

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