お受験服など高級品で知られる子ども服の「ファミリア」(神戸市中央区)が、セーターなどのニット製品に次々とはさみを入れて大きな穴を空けてしまった。実はこれ、同社の創業70周年企画の取り組みで、切り取った部分を、手提げかばんなどの小物に作り直し、神戸・旧居留地の神戸本店で展示している。中には、2万円近いセーターをリメークしたクッションも。期間中にインスタグラムでお気に入りを投票すると、抽選で作品がもらえるキャンペーンもある。
神戸市では2017年に母子手帳がリニューアルされ、「ファミリア」デザインの母子手帳が登場。他の地域のママさんたちからも「うらやましい」という声が殺到するほど。その人気ブランドの本店1階の壁一面に、クッションや手提げかばん、ファスナーポーチなどがずらりと並ぶ。それぞれの横には、そでや身ごろをかなり大胆に切り取られたセーターやカーディガン、赤ちゃん用のカバーオールの〝残り〟も飾ってあり、もともとの姿が想像できる。額縁から飛び出したような展示方法にもこだわりを感じる。
「当社の商品は割と高額ということもあって、捨てられないというお客さまが多いんです。でも結局、箱にしまっておくだけになるようで…」と、同社営業部営業課長の小山宏美さん。「活用方法の一つとしてご提案できたらと思って70点を製作しました。どれも1点ものです」
展示用にリメークしたのは、同社がニットメーカーに製造を依頼する際に提出したり、カタログ撮影に使用したりしたサンプル品。毎年、新しいデザインを企画しているため、長い歴史の中でサンプルもたくさんたまっているのだそうだ。
ひときわ目を引くのは、同社のクマのキャラクター「リアちゃん」が大きくあしらわれたニットのクッションだ。チクチクしないのかな…と不安に思っていると、小山さんが「ぜひ、触ってみてください。これカシミヤなんです。もともとは1万7000円で売っていたセーターです」。確かに、頬ずりしたくなるような、なめらかな肌触り。これからの季節、抱きしめて眠ったら暖かいだろうなぁと、想像しながらも、思わず「私、2万円近い服にはさみを入れる勇気ないです!」と叫んでしまった。
ほかにも、マフラーのフリンジを生かした手提げかばんや、子ども服らしい絵柄のポーチなど、商品として販売されていてもおかしくないクオリティーだ。展示、インスタ投票は11月3日まで。同社のインスタ公式アカウントをフォローし、展示風景の写真、お気に入りの作品番号と合わせて、「#loopknit」を付けて投稿する。