「行こう!投ヒョウ」大阪のおばちゃんの投票率が大幅アップ? 都構想、選挙啓蒙カーが攻めている

村山 祥栄 村山 祥栄

選挙になると、候補者の車とは別に町中を走る車、選挙啓蒙カーなるものがある。

「○月○日は▲▲選挙の投票日です。街の未来のために投票へ行きましょう」というテープを流しながら走る役所の車だ。大抵は、商用バンの上にと投票啓蒙の看板を備えたシンプルな造りだが、今回の大阪都構想の住民投票の啓蒙に使われている宣伝カーがとんでもないことになっている。先に言っておくが、阪神タイガースの宣伝カーではない。

“8頭”のいかついヒョウが市内中を駆け巡る

はじめてみたとき、二度見してしまった。てっきり賛成派か反対派の過激グループが面白半分で作ったのかと思ったぐらいだ。とにかく、いろんな意味で攻撃力の高い。

しかし、お堅いイメージの役所とは程遠い、批判が殺到しそうな攻め過ぎる啓蒙カーはどうして誕生したのだろうか。大阪市選挙管理委員会の西田秀之課長補佐に話をきいてみた。

――ひょっとして、この攻撃的なデザインは大阪のおばちゃん、ヒョウ柄好きというのに着想を?

「よく聞かれますが、全く関係ありません」(きっぱりと)

――となると、阪神タイガースを意識して…?

「違います!」

――そうですか…モデルは天王寺動物園のヒョウなんですかね

「いや、天王寺動物園にヒョウはいないんです」

どれも無関係だった。しかし、大阪の強いイメージとヒョウがしっくりくるのは私だけだろうか。

キャッチフレーズは「行こう!投票(ヒョウ)」

「今回は時間がなくて。9月3日に住民投票が決定して60日以内というタイトなスケジュールだったので、職員に案を募って、出てきた70ほどの案から精査をして作りました。まず『行こう!投“ヒョウ”』というキャッチフレーズを決め、それをデザイン化させたわけです」と西田さん。

何と職員の発案だったのか。掛け言葉とはいえ、投票にヒョウとはなかなか思い切ったことを考える職員がいるものだ。しかも、宣伝カーは一人乗りの電気自動車でいかつい見た目とは裏腹に環境に配慮した優しい乗り物だった。

なにわともあれ、告示日10月12日に行われた前代未聞の『啓発カーの出発式』を皮切りに、現在8台の啓蒙カーが市内一円縦横無尽に走り回っている。

近年、行政広報はかなり攻めの姿勢に転換してきた。毒舌タレントの有吉氏を起用した自虐的広報「おしい!広島県」、破壊力抜群のデーモン閣下を起用した「まだ受けておらぬのか」というがん検診ポスター、謎が謎を呼び爆発的ヒットとなった滋賀県の「石田三成CM」など話題に事欠かない。遂にポスター、市民新聞といった二次元から飛び出し、手堅くまとめられてきた啓発活動宣伝車までもが強烈な個性を放つ大阪市の新しい挑戦、その効果はいかに?投票率はあがるのだろうか?11月1日、その結論も明らかになる。

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