「この町最高のスポットは?」という問いかけに海外の酒飲み紳士が見せてくれた絶景スポットとは? 日本を遠く離れた海外での出会いと感動を描いた実録漫画がSNS上で大きな話題になっている。
件の漫画を執筆したのは漫画家の五箇野人(ごかやじん)さん。
街角でラム酒をラッパ飲みしながら歩く紳士から声をかけられ一緒に散歩することになった五箇野人さん。「この町最高のスポットは?」とたずねると、どういう風の吹き回しか「ウチで鶏肉食べる?」とまさかのお宅訪問。そこで紳士が鶏料理を振る舞うとともに見せてくれたのは街並みの先に海の見える絶景のベランダ…「この町最高のスポット」なのだった。
なんともドラマティックでハードボイルド感もただようエピソードだが、この実録漫画はどのような背景で描かれたのだろうか?五箇野人さんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):この漫画のエピソードはどちらの国、地域に行かれた際のものでしょうか?
五箇野人:キューバのハバナです。
中将:紳士のキャラクターはなんとも印象的ですが、部屋に誘われた時、恐怖は感じませんでしたか?
五箇野人:外の散歩の時点で1時間以上話しながら歩いていましたし、漫画内では割愛してますが、その中で彼の友達とか色んな方にも会って挨拶とかしながら歩いていました。その間に彼や彼の周りの方の人柄を知る事ができて、安心できる人だったので部屋に誘われた時には恐怖はありませんでした。
中将:紳士の部屋のキッチンはけっして衛生的ではない印象ですが、紳士が鳥料理を作りはじめたとき不安はありませんでしたか?
五箇野人:中々渋いキッチンに、まな板も年季を感じたので若干ひるむところはありましたが、キューバは社会主義国で食材にしても日用品にしてもモノ自体が豊富ではなく、さらに彼も収入が高いわけではないことも聞いていました。なので純粋にその状況の中で自分に家で手料理を振る舞って頂ける気持ちと「もてなしてやろう」という心意気が嬉しすぎました。
中将:結果的に「この町最高のスポット」で絶景を見ながら鳥料理を食べられたというオチには感動しました。鳥料理の仕上がりはいかがでしたか?
五箇野人:ビネガーと塩なのでサッパリして食べやすく、味付けがシンプルな分、肉の味もしっかり感じられたのでラム酒にとても合いました。
ブログには写真を載せていますが本当に綺麗な景色で、特にハバナの旧市街は世界遺産にも登録されていてコロニアル様式の建物は歩きながら見ているだけで満足感がありますのでその中に入って尚且つ歩くのとは違う視点で見れたことは特別な体験でした。奥にのぞむ海も、すぐそばにキューバならではの要塞がある沿岸だったので素敵でした。
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▽五箇野人(ごかやじん)プロフィール
甚平・忍ハチマキ姿で海外旅をした体験を元に実録漫画等を執筆している。
「月刊少年サンデー」、「サンデーうぇぶり」等で連載中。
公式ブログ http://gokayajin.blog.jp
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客人をもてなそうという純粋な気持ちに洋の東西は関係ないものだ。五箇野人さんの実録漫画が与えてくれる感動は、その根底にあるメッセージが人間にとって普遍的なものであるがゆえだろう。
五箇野人さんはSNS、ブログ、ウェブメディアなどで主に海外旅の体験を元にした作品を発信中。いずれも感動的で興味深いものばかりなので、ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。