「弁当の販売はしておりません」…ナゾの標識が話題 「生き活きべんとう村」って何の施設?

金井 かおる 金井 かおる

 山形県鶴岡市内にある標識がネット上で話題です。「生き活きべんとう村」という名称と入り口に誘導する大きな矢印。素朴なおふくろの味弁当が並ぶ店舗…と思いきや、2行目には小さな文字で「弁当等の販売はしておりません」。お弁当は売っていないのに「べんとう村」って一体、どんな施設なの?!

「ここでお弁当食べたら…」

 「生き活きべんとう村」を管轄する鶴岡市櫛引庁舎産業建設課の担当者に話を聞きました。

 ――「生き活きべんとう村」とはどのような施設ですか?

 「生き活きべんとう村は、自然と触れ合う機会が少なくなっている現代の生活において、自然の良さを理解してもらい、また森林の持つ公益的機能を高めることを目的に、平成4年度から平成5年度にかけて整備されました。四季を通じてミズバショウやハナショウブ、多種多様な山野草の花々を楽しむことができる森林公園です。公園内には東屋、水洗トイレ、飲料水供給施設があります」

 ――公園でしたか! なぜ「べんとう村」に?

 「『この施設でべんとうを食べたらおいしいのではないか』『自然と触れ合い、心身ともにリフレシュすることにより、生きる活力がみなぎってくるのではないか』という思いから、『生き活きべんとう村』と名付けられました」

 ――「園内に弁当の売店はないのか」等の問い合わせは?

 「ここ数年は受けたことはありませんが、過去にそのような問い合わせがあったと聞いております」

 ――SNSなどに標識の写真がいくつもアップされているのはご存じですか?

 「標識の写真がそこまでアップされているとは知らず、改めて確認したら、たくさん話題になっており驚きました」

 ――話題になっていることについて、どのようにお感じですか?

 「生き活きべんとう村が注目されることは、とても喜ばしいことだと思います。弁当を販売している施設ではありませんが、自然豊かな公園ですので、自然に癒されたいという方はぜひ足を運んでいただければと思います」

 ――念のためですが…お弁当など食べ物の持ち込みはOKですよね。

 「はい、大丈夫です!」

パンフレットにも注意書き

 「生き活きべんとう村」は、宮城県仙台市と山形県酒田市を結ぶ東北横断自動車道酒田線の櫛引パーキングエリアに隣接しています。園内はブナの森や湖畔の森、果実の森など11のエリアに区分され、なだらかな遊歩道はファミリーでのハイキングも可能です。秋にはカメラ片手に紅葉狩りもよさそうです。

 ちなみに、入手したパンフレットの表紙にも「弁当の販売はありませんのでご注意を…」と注意書きがありました。ランチタイムに訪れる予定の方は、お弁当の準備は忘れずに。

山形県鶴岡市ってこんなところ

 「生き活きべんとう村」のある山形県鶴岡市ってどんなところなのでしょうか。

 鶴岡市は山形県の北西部・庄内地域に位置し、羽黒山、月山、湯殿山の出羽三山に囲まれています。

 鶴岡市の大督寺境内にあった小学校で1889(明治22)年、生活が苦しい家庭の児童に昼食が提供されました。これが小学校給食の始まりと言われています。1959(昭和34)年には、同寺内に「学校給食発祥の地」の記念碑も建立されました。

 また、枝豆の王様「だだちゃ豆」やブランド米「つや姫」の産地。亀の井酒造「くどき上手」や渡會本店「出羽ノ雪」、栄光冨士「古酒屋のひとりよがり」など、酒どころとしても全国的に知られています。

 作家の藤沢周平さん、お笑い芸人のウド鈴木さんの出身地でもあります。

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