安倍晋三総理大臣の後継として次期総理への就任が有力視されている菅義偉官房長官。
9月2日には自民党総裁選への立候補を表明し、これまで内閣の中枢でナンバー2を務めてきた実績や農家出身の苦労人であることをアピ―ルするなど好感度アップに余念がないが、安倍総理や海外の首脳たちに比べてもいま一つさえない風貌のせいか、暗くて神経質そうな印象を抱いている方は多いのではないだろうか。
しかし、これから一国のリーダーになろうという人がそんなマイナスの印象を背負っているのは本人のためにも国民のためにもならない。僕はテレビに映る菅さんを注意深く観察する中で、マイナスの印象の多くはあの独特のヘアスタイルによるものではないかと感じた。そこで今回、プロの美容師の方のご協力を得て、菅さんの現状のヘアスタイルを分析した上で、どうすれば国民により良い印象をあたえられるのかシミュレーションしてみた。
ご協力いただいたのは東京・大井町「LEMI hair」所属でメンズカットに定評のある人気美容師、衞藤功(えとう つとむ)さん。
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中将タカノリ(以下「中将」):菅さんの髪型はセットしない状態だとどんな感じなんでしょうか?
衞藤:あくまで僕の予想ですが、生え際はかなり後退していますね。ですが頭頂部にはそれなりに毛量が残っているので、あの厚みのあるフェイク前髪を確保できているのだと思われます。
中将:やはりプロの方から見るとフェイクなんですね……。どんなカットをしたらああなるんでしょうか?
衞藤:サイドの毛量はしっかりあるため、サイドとフェイク前髪の量のバランスを違和感のないように近づけるのがポイントです。それなりに技術の必要なカットだと思います。
中将:整髪料は何を使っているんでしょうか?
衞藤:ある一つのスタイルを作るために用いられる整髪料のアプローチは十人十色です。ですので、僕がもし菅さんにスタイリングを依頼されたらという仮定でお話をさせていただきます。
このスタイルの1番注意しなければいけないのはもちろんフェイク前髪の部分です。ここがスケスケになって、俗に言うバーコードになってしまうのは避けなければなりません。髪の毛は束になると途端にスケスケになりやすくなってしまいます。束感を作りたくないので、ウェットではなくマット系のワックス……硬さは1番硬いものよりも2段階ほど下の硬さのものをチョイスします。
中将:一番硬いワックスでカチカチに固めるんじゃないんですね?
衞藤:キープ力よりも髪の毛になじませやすい、セットのしやすいものをチョイスしたいからです。硬さがあるものはキープ力はありますが硬いが故に髪になじませるのが難しいんです。特に菅さんのように毛量が少ないところに馴染ませようとすると、髪がからまったりボリュームが出過ぎてそれを抑えるのが大変になります。
そこでまずは髪になじみやすい程度の固さのワックスを使い、櫛でしっかり形を作って、肌の色が見えていないかしっかりチェックした上で最後にハードスプレーをしっかりかけてあげます。ワックスの量はごく少なく……枝豆3分の1ぐらいで大丈夫です。量が多いと髪の束が割れやすくなるので要注意です。
中将:現状のヘアスタイルもなかなか考え抜かれたものなんですね……。ですが、こんなに大変なセットが必要なヘアスタイルだと、緊急時になかなか人前に出られないとかいろんな問題も起きてしまいそうです。
僕は菅さんの現状のヘアスタイルに暗さや後ろ向きな印象を受けてしまうのですがなぜでしょうね。
衞藤:感覚の問題なので表現が難しいですが、たしかにお洒落さやワイルドさ、カリスマ性を感じる類のヘアスタイルではありませんね……。
中将:菅さんがより良い印象を国民に与えるためにはどんなヘアスタイルがおススメでしょうか?
衞藤:政治家の方はいろんな制約があるので保守的なヘアスタイルになりがちですよね。その範囲でもし許されるのであれば、渡辺謙さんのように短髪にしてワイルドなヒゲを生やされてはいかがでしょうか?渡辺さんも毛量豊かなタイプではありませんが、良いルックスの印象を作ることに成功している方だと思います。
毛量が少ない方が短髪にするとさわやかさや清潔感が出ますし、ヒゲには精力的な印象や威厳を出す効果があります。相性がいい取り合わせなんですよ。菅さんは官房長官を長く務めてらっしゃったので2番手のイメージが強いと思うのですが、それを払拭しリーダーにふさわしいカリスマ性を演出するなら、このタイミングで「短髪×ヒゲ」へのイメチェンをおススメします。
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ファッションはなりたい自分に近づくための早道だという。これまでの2番手のイメージから自己を解き放ち、混迷続く日本社会を強力なリーダーシップで導いていただくためにも、菅さんにはまずヘアスタイルの大改革をお願いしたいものだ。