今年40歳を迎えたプロボクサーの堀川謙一(三迫、西乙訓高出、京都府大山崎町出身)が元気だ。7月25日に行われた東洋太平洋ライトフライ級王座決定戦で10回TKO勝ちし、自身初の東洋太平洋チャンピオンとなった。現役最多の58戦を誇る鉄人は「負けると年齢を理由にされる。でも要は自分がどれだけ追い込んで節制し、精進できるか」と信念を持つ。
王座決定戦は当初3月に予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で延期され、無観客試合となった。コロナ禍でジムが休業し、練習できない期間は「部屋で一人、考え事をしていた」と語る。20歳のプロデビューから20年が過ぎたベテランは、先行きに不安を抱えながらも、普段と変わらない節制した生活を続け、再戦の機会を待った。
対戦相手は18歳年下で伸び盛りの冨田大樹(ミツキ)だった。堀川は「最初からある程度パンチは見えていた」と着実にポイントを重ね、途中までの採点でも大差を付けた。3回に相手のジャブを顔面に受けて出血したが、反省点はそれくらい。「(体力的には)35歳から変わっていない。年齢にあらがうようにはしているが、言い訳にはしない」と言い切る。
ジムの三迫貴志会長は試合後、「こんなに感動したのは初めてかもしれない。彼のすごさは徹底した節制。プロボクサーであることを片時も忘れない。若い選手のお手本になってくれている」と賛辞を送った。堀川は「(何があっても)ボクシングを辞めないこと」とベテランの矜持(きょうじ)をにじませ、現役にこだわる。まだ先になりそうな自身の引き際については「分からない。辞めたいと言えば辞めたい。しんどいですもん」と冗談めかして語った。