アメリカでは医療関係者やファーストレスポンダー(災害や事故が起きた際に最初に対応する消防隊員や警察)らコロナ最前線で闘う人たちに加えて、スーパーマーケットの従業員や宅配業者など、生活全般に必要不可欠なビジネスに携わるエッセンシャルワーカーを「ヒーロー」と称えています。そんな中、米サウスカロライナ州の8歳の少年、グレイソン君の「ヘルピング・フットプリント(Helping Footprint)」というグループの献身的な活動がアメリカのメディアで取り上げられ、反響を呼んでいます。グレイソン君の母親、スティービーさんにお話を伺いました。
――「ヘルピング・フットプリント」はどんな活動をされていますか。
「食料品のギフトカードの寄付、無償での草刈り、貧しい子供たちにクリスマスプレゼントを届けるなどして、主に退役軍人、シングルマザー、高齢者やファーストレスポンダーのお手伝いをしています」
――そもそものきっかけは何だったんでしょう?
「グレイソンは4歳の時からこのような活動をしています。さらにハリケーン・フローレンス(2018年秋に米東部を直撃)の被害を受けて、弟のガレットとともに地域の支援活動に、より一層力を注ぐようになりました。今回、新型コロナウイルスの感染が拡大し、職を失った人たちが住まいや食べ物に困っているのではないかと、グレイソンは心配していました」
グレイソン君が凄いのはすぐに行動を起こしたことです。草刈り機を購入するために貯めていたお小遣いをはたいて、食料品を必要とする地域の人たちのためにギフトカードを購入しました。その様子を母親がSNSに投稿したところ、その行動に感銘を受けた2人の男性が草刈り機をプレゼントしてくれたそうです。
――パンデミック以来、活動に変化はありましたか?
「息子たちは、いままで以上に草刈りをするようになりました。また、パンデミックの最中に最も必要とされているのは食料です。食料品のギフトカードを寄付するだけでなく、手作りのチキン&ダンプリング(アメリカ南部の定番料理)も届けました」
依然としてコロナ禍の収束は見込めませんが、善意の輪が広がっていることには心温まります。「みんなのために戦ってくれる人たちを助けたい…」。そんなグレイソン君こそ、真のヒーローではないでしょうか。