新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、全米の介護施設や老人ホームがロックダウンしてから約4カ月が経ちます。いまなお感染が拡大している州では施設への訪問が禁止され、入居者の家族にとっては不安が募るばかり。そんな中、フロリダ州のある妻の行動がアメリカのメディアで注目を集めています。
ジャクソンビル在住のメアリー・ダニエルさんはやるせない日々を過ごしていました。59歳で早期発症型アルツハイマー病と診断されて老人ホームに入居していた夫のスティーブさんと、パンデミック以来114日間も面会が許されなかったからです。日本でも起こり得る話でしょう。メアリーさんが言います。
「スティーブはとても孤独だった。4カ月で体重が4.5キロも減り、弱っていくのが手に取るように分かったの」
そこでメアリーさんはあるアイデアを思いつきました。夫のそばにいるために、老人ホームに頼み込み、皿洗いのバイトを始めたのです。献身的に夫を支える彼女を全米メディアも注目。わたしも取材しました。
――どうして旦那さんの老人ホームで皿洗いをすることに?
「パンデミック以前、わたしは仕事帰りに毎晩夫に会いに行っていました。でも、3月11日に施設から電話があり、訪問が禁止になってしまった。“ボランティアでも何でもする”と伝えたら、6月になって皿洗いのバイトを募集していると連絡があり、すぐそのチャンスに飛びついたわ!」
メアリーさんによるとまずは指紋採取、バックグラウンドのチェックやコロナ検査をクリア。それからエイズ、新型コロナウイルスやアルツハイマー病の知識や衛生管理など、ほかの従業員と同様に教育訓練を受けたそうです。
――バイトのスケジュールは?
「夕食の皿洗いが中心です。あと、片付けやゴミ出しなどをして、週に2日、2時間働いています」
――旦那さんとはいつ会っていますか?
「仕事が終わったら夫の部屋を訪れて寝る準備を手伝います。以前のようで嬉しいわ」
――本当に仲がいいですね。旦那さんとの出会いは?