災害時の連絡手段として、じわりと注目を集めるトランシーバー。とはいえ、「ゴツゴツしてかわいくない」「免許・登録が必要」といったイメージから、何となく敷居の高さを感じる人は少なくない。そんなイメージを払拭するトランシーバーが登場した。今年6月に朝日電器(大阪府大東市)が発売した「エルパ特定小電力トランシーバーTRX-01」だ。
買ってすぐに使える
トランシーバーには、タクシーなどで使用される業務用無線機、イベント会場などで使用されるデジタル簡易無線機など様々な種類があるが、その多くが免許取得や登録申請が必要。しかし、特定小電力トランシーバーは免許も登録も不要で、見晴らしのいい場所であれば500m~1kmの距離で通信できる。飲食店のインカムなどでよく見られるものだが、同商品は子どもでも使いやすいコンパクトなサイズ感が特徴。折りたたみ式のガラケーサイズなので、大人の手のひらにすっぽりと収まる。
操作方法は簡単で、トランシーバー同士のチャンネルを合わせて本体横のボタンを押すだけで通話が可能。「一斉呼びかけ」などの便利機能のほか、同じチャンネルのトランシーバーにベル音で通知を知らせる「コールトーン機能」、周囲で既に使用されているチャンネルを検出する「チャンネルスキャン機能」、電波受信感度を一定時間ブーストさせて音声を聞き取りやすくする「モニター機能」も搭載されている。価格は2個セットで5980円(税抜/参考)。色は鮮やかなブルーで、チャンネル数は9つ。マイク付きイヤホン、ベルトクリップも2個ずつ付属している。
「チャンネル数をやや抑え、必要な機能だけに絞り込むことで、低価格かつ子どもも使いやすい操作性を実現しました。通話だけなら、幼稚園年少の子どもでもすぐに使いこなせると思います」(MD部企画四課:阪口直也さん)。
ところで、大手通販サイトなどでは、特定小電力トランシーバーは1台2000円前後という破格の値段で販売されているものも見受けられる。こうした安価な商品との違いはどこだろうか。「電波法認証を取得しているかどうか、が大きな違いかと思われます。特定小電力トランシーバーは、販売者側が電波法認証を取得する義務があるのですが、海外メーカーから仕入れたものをそのまま販売しているケースもあります。そうした商品を使うと使用者が罰せられてしまうので、購入の際には気を付けてほしいですね」。
認証を受けている商品には、技術基準適合証明マークが貼り付けられている。購入の際には、忘れずにチェックしたい。
子どものおもちゃとしても人気
20~30年前には、スキーなどのアウトドアレジャーで活躍していたトランシーバーだが、携帯電話・スマホが普及し、通話エリアが拡大すると共に市場が縮小。しかし、キャンプ場での子どもの遭難、相次ぐ自然災害などのニュースを受け、同社は「どこでも、誰でも使えるトランシーバーは、きっと一般ユーザーの役に立てる」と考えた。
そこで、スマホをまだ持てない子どもでも使えるように、使いやすい操作性とビジュアルを追求。手に取りやすい価格帯にもこだわった。
「災害時はもちろん、キャンプや登山などのアウトドアレジャーでも便利に使用してもらえると思います。また最近は、子どものおもちゃとして購入する人も増えていると聞きます。子どもは音が出るおもちゃが好きですから、日頃からおもちゃとして扱い方に慣れておけば、いざというときにもスムーズに使いこなせそうです」。
トランシーバーは本体同士が直接電波を発受信するので、スマホの電波が届きにくい場所でも通話ができる。また、乾電池式のため、充電を気にする必要もない。災害時の情報収集に欠かせないスマホのバッテリー温存にも役立ってくれそうだ。
おうちキャンプでの雰囲気づくり、ショッピングモール等での迷子対策など、使い道は幅広い。備えあれば憂いなし。家族で備えておけば、かわいいわが子を守ってくれる頼もしい相棒になりそうだ。