智将・明智光秀譲りのアイデアを打ち出してきた福知山市。その最終形とも言える「クラウドファンディング型ふるさと納税」がクライマックスを迎えようとしている。8月末の最終ゴールとして設定した11,132,110円(いいひと!みつひで円)超えへ視界良好。やや”悪のり”とも思えたが、寄付の返礼品「謀反のお知らせハガキ」の威力は健在のようで、もうひとつの「本能寺の変」は大成功に終わりそうだ。
NHK大河ドラマ「麒麟(きりん)がくる」に負けない壮大な物語がひと足お先に佳境に入った。物語の始まりは本能寺の変をパロディ化した「明智光秀からの謀反のお知らせ」ハガキ。行政ハガキを模したことが受け、ネットなどで反響を呼び、抽選倍率240倍という入手困難な逸品となった。
そこから何と「クラウドファンディング型ふるさと納税」に発展。「明智光秀×福知山サポーターズ!」と題し、寄付を募り、その返礼として人気のハガキと福知山城天守閣&福知山光秀ミュージアムの「無料入場券」を届けることにした。
すると、謀反ハガキが絶大な効力を発揮する。当初の目標額3,211,000円(みつひで円)をわずか2日でクリア。続いて今度は5,532,110円(Go!Go!みつひで円)に上方修正したが、これもたった5日で達成してしまった。
連戦連勝ムードに気をよくした福知山市では調子に乗ったわけではないが、ファイナルゴールとして11,132,110円(いいひと!みつひで円)超えを設定。5日現在、2399人が納税し8,066,626円が集まり、目標を視野に入れている。
福知山市の担当者は「クラウドファンディングのサイトに表示される支援者数が一人、また一人と増えていくのが本当に嬉しくて『ありがとうございます』と見る度に心の中でつぶやいています」と感謝。「現在はさすがにペースが穏やかになり、高すぎる頂だったか…と感じていますが、最後まで頑張って挑戦します」と意気込んでいる。
しかも、ゴールへの折り返しにあたる7月29日には明智光秀が1579年ごろに築いた福知山城の天守部分が映った古写真が見つかるというビッグニュースも舞い込んできた。明治初期に撮影されたとみられ、専門家は「天守の姿が初めて確認でき、第一級の貴重な史料」と位置づけているほどだ。
“持ってる”福知山市の光秀クラウドファンディングページ内では様々な応援メッセージが届いている。
「会社で見せるともう回覧板状態で、なかなか手元に帰ってきませんでした。皆が欲しがって大変でした」
「返礼品競争と化したふるさと納税に嫌なイメージを抱いてしまい、今まで全く関わらなかったのですが、こんな素敵なアイデアでしたらぜひ応援したい!とやって参りました」
Twitterの反応も上々だ。
「謀反のお知らせきたあああ」
「とりあえず戦の用意をしないと」
「噂のものを実際に手にして見ることができて嬉しい」
「歴史好きには胸熱な内容」
「なんだかめくるのもったいないな~」
「開けたいけど開けられない」
「うん、コロナ収束したら福知山行こう」
ピンチをチャンスに変えた一連のユニークな企画。この感じならハッピーエンドに終わりそうだ。それと同時に地方自治体の「交流人口」「関係人口」を増やすひとつの成功モデルになるかもしれない。