京都・先斗町の21歳芸妓、異例の夏場デビュー 新型コロナで延期「早く終息を」と着物に願い

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祇園祭を描いた黒紋付きに身を包み、店出しの日を迎えた豆八重さん(右)と女将の市園さん=京都市中京区・大市
祇園祭を描いた黒紋付きに身を包み、店出しの日を迎えた豆八重さん(右)と女将の市園さん=京都市中京区・大市

 京都の五花街の一つ、先斗町(京都市中京区)で9日、芸妓の豆八重さん(21)が「店出し」(デビュー)した。この日のためにあつらえた着物は、疫病退散祈願の祭礼・祇園祭の様子を描いた黒紋付き。新型コロナウイルス終息への願いを込めて作られた着物に身を包み、あいさつ回りに出た。

 青森県出身の豆八重さんは、長唄や常磐津といった邦楽が好きで芸妓を志した。先斗町のお茶屋「大市」での1年間の修業期間を経て、この春に店出しする予定だったが、新型コロナの影響で延期になった。

 夏場の店出しは異例だが、大市女将(おかみ)の市園さんは「祇園祭の御利益をいただき、コロナが早く終息するようにとの願いを込めた」とあえてこの時期を選んだ理由を話す。4月中旬から5月末まで営業を自粛した五花街に少しでも明るい話題を提供したいとの思いもあったという。

 豆八重さんのためにあつらえられたのは、応仁の乱以前の行者山(現在の役行者山)などの山鉾が巡行する様子やお囃子(はやし)、鷺舞(さぎまい)といった柄が裾に描かれた黒紋付き。身支度を調えた豆八重さんは「このように貴重な経験をさせていただき、身の引き締まる思い。お世話になった方々にご恩が返せるよう努力したい」と話し、ゆかりのある人たちにあいさつをして回った。

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