万華鏡、美雲、銀河、茜雲…人気の新品種アジサイ 実は島根県オリジナル!独自開発の4品種が全国へ

平藤 清刀 平藤 清刀

梅雨のジメジメした時季に可憐な花を咲かせて、私たちを和ませてくれるアジサイ。島根県では独自の品種改良に取り組んで4品種が誕生、市場に出荷されている。島根県産地支援課に聞いた。

母の日ギフトの需要を見込んでブランド力のあるアジサイを

鉢物の花と花苗はガーデニングブームに乗って生産量が伸びていたが、その後のデフレ経済の影響を受けて需要は低迷。燃料費や資材費も高騰し、鉢花農家の経営は厳しさを増した。そんな状況を改善するべく、ブランド力のある鉢花を開発・育成しようというプロジェクトが2005年にスタート。島根県農業技術センターと生産者らによって、アジサイの品種改良に取り組んだ。

島根県の鉢物農家の多くは、12月に出荷のピークを迎えるシクラメンと春の鉢花・花苗を中心に生産していたが、春に出荷する品目の生産額が著しく減少した。そのため、出荷品目を再構築する必要に迫られたのだ。

「そこで、シクラメンと競合せず、母の日ギフトとして需要が見込め、品種のバリエーションが少ないことなどからアジサイを導入するに至りました」

そして7年後の2012年、オリジナル品種の第1号「万華鏡」が誕生した。

グラデーションが特徴的で「万華鏡のようなきらびやかな花色を放っている」ことから命名され、2012年から出荷されている。

万華鏡が誕生した翌年の2013年、小花の形と花色が特徴的で「花が沸き立つ雲のように見える」ことから名付けられた「美雲(みくも)」が誕生。さらに3年後の2016年、「白く縁取られた周囲の花は、まるで夜空に散りばめられた星達が描く銀河を想わせる」ことから名付けられた「銀河」が誕生。八重咲きと覆輪の組み合わさった極大輪と、開花が進むと中心部の白い花が沸き立つ雲のように盛り上がるのが特徴とされている。

「現在、市場に出ている4品種の中では、万華鏡がいちばん人気です」

最も新しい品種は、今年から出荷され始めた「茜雲(あかねぐも)」だ。夕日に染まる雲をイメージさせる優しい色合いで、開花初期には淡いピンク色が次第に濃くなり、色の変化を楽しめるという。

花の色は各品種とも「青」と「ピンク」の2色(茜雲はピンクのみ)あるが、ピンクは発色が難しいそうで、青と比べると数は少ない。

2品種が「フラワー・オブ・ザ・イヤー」を受賞

2012年に開催された「ジャパンフラワーセレクション2012-2013」で、万華鏡が鉢物部門で最高賞のフラワーオブザイヤーを受賞した。

フラワーオブザイヤーは、国内外の花卉の新品種から優れた品種を選んで表彰する、国内最大規模の新品種コンテストで、切花、鉢物、ガーデニングの各部門に分かれている。

2016年には、銀河もこの栄誉に輝いた。銀河は同じ年に行われた「F&Gジャパンセレクション」と「新花コンテスト」でも第1席を受賞し、3冠獲得を果たしている。

「これらのアジサイは、主として母の日ギフトとして出荷されます。母の日の花はカーネーションが定番ですけど、じつはアジサイの人気も高いのです」

今年はもう過ぎてしまったけれど、来年の母の日には島根県オリジナルのアジサイなんてどうだろう。

尚、島根県オリジナル品種のアジサイは品種登録され、種苗法で保護されている。育成者の許諾を得ずに増殖し(苗、穂木を含む)他人へ譲渡することは、有償無償を問わず禁止されている。

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