埼玉県にあるゴルフ場の倉庫で母猫が子猫を生んだ。母猫はしばらく子猫を育てたが、ある日姿を消した。理由は分からないが、このままでは子猫が死んでしまう。心配した猫好きの社員たちは、母猫に代わって子猫を育てた。
ゴルフ場の倉庫で生まれた子猫たち
2017年8月、埼玉県のゴルフクラブ、グリーンキーパー(コースの整備をする人)が使う倉庫で母猫が3匹の子猫を生んだ。倉庫はクラブハウスから離れたところにあり、猫が出入りしても人目につかなかった。8月10日、コース課の職員が親子猫を発見、まだ子猫たちは乳飲み子だったので、猫好きの職員が倉庫に交代で泊まり込んで世話をしたという。
子猫たちは母猫の母乳を飲んで順調に育っていたが、母猫は一週間くらい経つと姿を消してしまった。職員たちは、「このままでは子猫が死んでしまう」と心配したが、大の猫好きのグリーンキーパーさんが、子猫たちを家に連れ帰り世話をすることになった。
別れがつらいからペットは飼わない
3匹の子猫は元気に育ったが、茶トラのきんたくんは不器用で、ミルクを上手に飲むことができなかった。そのせいかよろよろしていて、他の2匹に比べると弱々しい感じがしたという。
埼玉県に住む寺田さん(女性)は、このゴルフクラブのフロントで働いていた。きんたくんを見た時、か弱い雰囲気に母性をくすぐられた。まだ性別は分からなかったが、茶トラ猫は男の子の猫が多いと聞いていたので、男の子の猫と暮らしたいという夢もかないそうだった。
父親には以前から「猫を飼いたい」と希望を口にしていたが、許可されなかった。
「動物は好きなんですが、ペットを飼うと必ず別れがやってくる。あんな辛い思いを娘にさせたくないと思い、なんだかんだ理由をつけては断ってきたんです。でも、この時だけは娘の熱意に負けました」(父親)。
そのときは、あえて来ても来なくてもどっちでもいいという素振りをしたが、内心は「家に迎えたら・・・」と想像してうきうきしたという。
一番メロメロになったのは誰?
2017年9月、生後1か月ほどのきんたくんをグリーンキーパーさんが連れてきてくれた。生まれて間もない時から人に育てられたので、きんたくんはすぐに懐いたそうだ。
家族みんなできんたくんを可愛がったが、一番メロメロになったのは実は父親だった。
「夜寝る時に、きんたの寝床を作ってやったのですが、ふと目覚めると、私にくっついているのに気が付きました。もう可愛さ倍増です」
きんたくんは、家族が出かけようとすると玄関で通せんぼする。誰かの具合が悪いとそばにいるし、夫婦喧嘩をしているとニャアニャア鳴いて仲裁する。
長女は、まるでモンスターペアレンツのよう。「このフードは食べさせちゃだめ!」「怒っちゃだめ!」「長く抱っこすると疲れるからだめ!」と、家族に注意するそうだ。