保育園や幼稚園は基本的に先生が「一緒に遊ぼうね」と声をかけてくれるものですし、小学校も低学年のうちは、無邪気に日々違う子と遊んだりもします。でも小3あたりから「うちの子、友達がいないみたいだけど大丈夫なのかな」と心配するママも増えます。学校の様子はずっと見ていられませんし、保育園のように連絡帳でお知らせしてくれるわけでもない、だからこそ、友達がいない様子の我が子に対する不安も大きくなりがちです。友達ができない・いない我が子に不安を持つママたちと、実際に友達のいない小学校時代を過ごしたけど、今では楽しくやっている子を持つ先輩ママの体験談をあわせて紹介します。先輩ママの体験から小さなヒントが見えてくるかもしれません。
友だちが欲しいけどできない我が子
▽ひとりポツンといる息子に胸が痛む
クラス替えをした小3になり、学童をやめて気付いたのですが、ウチの子には友達がほとんどいない様子です。周囲のママ友の話では、よく声をかけあって公園に集合しているらしいのですが、息子はその中に入っていません。話をしていても友だちの名前はさっぱり出てきません。通勤途中に学校があるのですが、朝の時間にひとりでポツンと校庭のすみっこに座っていたり、鉄棒をやっているのを見ると胸が痛みます。何がするべきなのか、本人ともっと話すべきなのか、迷っています。(Aさん/子ども・小3)
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▽自然と友だちができない娘が不安
小4の娘は友だちと遊びに行くとか家に呼びたいといったことがありません。何度か聞いたところ「いれて」と言えない、友だちは欲しいがどうやったら仲間に入れてもらえるのかわからないと。友だちなんて、作ろうとするのではなく自然にできるものだと思っていた私はアドバイスのしようがなく困惑しています。(Mさん/子ども・小4)
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【先輩ママのアドバイス】
『長い目で見守って』
長男がまさしく「友だちが欲しいのに、入れてとか言えずに結局ひとりで過ごす」タイプでした。ひとりで過ごしている我が子をみると不安が募りますよね。長男は中学もあまり友人はいない様子でしたが、工学系の高校で一気に友だちが増え(好きなことが同じ人ばかりですから、話があったのでしょうね)、うちに泊まりにきたり、みんなでゲームショー行ったりするようになりましたよ。心配する気持ちはわかりますが、長い目で見守ってあげて下さい。(Kさん/子ども 中3・高1)
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『焦らずに』
うちの子は高学年になってもこれといって親しい友だちができず、本人も多少悩んでいましたが、中学に入り、好きな部活(サイエンス部)に入ると、興味が同じ子と仲良くなり、今では友人も増えました。あまり焦らずに待ったほうがいいと思います。(Uさん/子ども・中2)
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『学校以外の場で友だち作りを』
学校のクラスに友だちがいなくても、他で出会えるチャンスを与えてあげてみてはどうでしょうか。娘は本好き、勉強好きで、アイドルの話題とかアニメやドラマの話題についていけず、友だちができませんでしたが、塾では似たような子がいたらしく、数人の友だちができました。数が大事なのではなく、気が合う子、話ができる子がいれば、充分だと思うので、例えば男の子ならスポ少やサッカーなどにいれたり、女の子ならバレエとか、あるいはガールスカウトなど、学校以外の場所で過ごす時間を作ってみるのもひとつの方法かなと思います。(Yさん/子ども・小6)
ひとりが好きで友だちはいらないと言う我が子
▽将来が不安
うちの娘は小3ですが、昔から本が好きで休み時間は図書室へ行くことがほとんどだそうです。学童も大嫌いで「みんなと何かをやらされるのが嫌」と言います。本人は友だちがいないことを「別にいい」と言うし、ひとりの方が気楽だと我が道を行く感じです。グループ学習などは無難にやっているようですが、帰宅すると「あーいうの大嫌いだけど先生うるさいからやってるだけ」と言います。協調性に欠けているように思えますし、今はともかく将来を考えると不安です。(Eさん/子ども・小3)
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▽友だちを作ろうとしない息子が理解できない
友だちを作ることに関心がないように見えるのが、親としてはすごく心配です。人間はひとりでは生きていけないんだよ、と話すと鼻で笑うのでビックリしてしまいました。小さい時から少し独特で、成績も好きな教科は毎回100点ですが大嫌いな音楽は授業参観の時もピアニカに触れもせずに、勝手に本を読んだりして見回りにきていた担任の先生になにげに本を取り上げられていたりしました。「友だちとか必要?なんのために?」と逆に問いかけられ、私が一生懸命説明をしても、「なにそれ、ママの言うことわかんない」。わたしも息子のことがわかりません…。(Wさん/子ども・小4)
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【先輩ママのアドバイス】
『友だち作りは強制しないで』
個性が強い子はクセがあるように思われて、仲間が作りづらいですけど、ひとりで本当に平気というタイプもいますよ。うちの息子がそうでした。夫も似たようなタイプで、結婚式のときには「呼ぶ友人なんていないな」というので大丈夫か!?と思ったりしましたが、だからといって会社でやっていかないとかってわけでもないですから。夫は高校で知り合った鉄道好きの友人とは今も付き合いがあるみたいですが、私が知る限りその程度です。でも社会人として問題があるわけじゃないですよ。友だちが大勢いるから「良い人」でもないし、性格も個性のひとつですから、友だち作りをあまり強制しないほうがいいのでは(Hさん/子ども・小6)
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『子どもを追い詰めないほうがいい』
子どもって、ある時期、突然変異みたいに性質が変わったように見える時があると思います。友だちいらないと言うのなら「何か困ったら相談してね」というスタンスさえ保っていればいいのでは。アレコレ問い詰めても逆効果、娘も友だちがいないタイプでしたが私がギャーギャー言うので高学年になると時々遊ぶようにはなりました。でも後から「ママと言い争いになるのが面倒で仕方なく友だちいるようなフリしてた」と言われ驚きました。友だちがいない自分はダメなんだと思って辛かったようです。本当にひとりで過ごすのが好きな子もいるし、それも性格ですし、大きくなるにつれ、やがて誰かしら親しくはなるものです。私は失敗しましたが、だからこそ、子どもの性格を見極めて、あまり追い詰めないほうがいいとアドバイスしたいです(Kさん/子ども・大学生)
周囲から避けられて友だちが作れない
▽よかれと思って担任に相談したが
小3のクラス替えで仲良しの子みんなが1組に、うちの子だけ3組になり、すっかり疎遠になってしまったようです。その上、新しいクラスになじめず、どうも女の子の間で仲間外れまではいきませんが、何をするにも声をかけてもらえない様子です。担任は「声かけしていきます」とのことで、実際に社会科見学のグループ作りなどではある女の子に誘われました。でも本人が「だれそれちゃんに、先生からわたしに声かけるように頼まれたから入れたんだよって言われた」と…。「ママが何か言ったでしょ、そんな風にされるなら、ひとりのほうがマシ」と大泣きされました。どうしたらいいのでしょう。(Uさん/子ども・小3)
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▽引きこもりになるのではと心配
息子は周囲の子と共通するものがなく、友だちができません。そのうち「あいつ変わってる」となり、バカにされたり、からかわれたり、学校へ行くのを嫌がるようになりました。担任と相談してイジメというか、意地悪をされることは少なくなったようですが、あいかわらず友だちはいないようです。みんなに流行っているゲームはしない(大人がするようなゲームをするので禁止にしたら、タブレットで動画ばかり観ている)、サッカーしたり公園に行こうとかもない。一応、登校はしていますが、また引きこもりになるのではと毎日不安です。(Eさん/子ども・小4)
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【先輩ママのアドバイス】
『家族が温かく見守ること』
うまく友だちの間でやっていけなくても、怒ったり不安な顔をみせず、あなたの良さをわかってくれる友だちがいつか見つかるよ、あなたはいい子なんだよと常に肯定してあげたほうがいいと思います。私は実際、小学校時代にハブにされた経験がありますが、看護師だった母が「こんないい子なのに、仲間はずれにする子のほうが悪いんだよ、心配しなくても大丈夫」といつも言ってくれていたので、乗り切ることができました。そして中学になって環境が変わると、似たようなおとなしいタイプの子と少し話すようになり、その子とは今も連絡を取り合っています。もし母が不安な顔をしていたら、相談もしなかったし、自分は友だちもできない、つまらない人間だと思ってしまっていたかもしれない。いずれ友だちはどこかの段階でできるので、それまで家族が温かく見守ってあげるのが大事かなと思います(Fさん/子ども・小3)
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『いじめと思ったら周囲に相談』
友だちが欲しくないのと、友だちから意図的に、しかも継続して仲間はずれにされて「友だちができない」のは別のこと。うちも次女は完璧主義で誰かと一緒に学習したりグループ行動しても嫌がられて、そのうちにエスカレートして、ウザいと言われ、給食にゴミをいれられたり、教科書にイタズラ書きされたりしました。いじめかな、と思ったら、その時点でまず少なくとも担任と相談したほうがいいです。いじめが進んでからだと本人の傷も深いし、なかなか止めるのも難しいからです。早いうちに親が気付いて、あまり深刻にならないうちにフォローできるうちに行動を起こしたほうがいいと思います。それでも状況が改善しないなら、友だちができず傷ついている子どもに寄り添い、責めるのではなく、大丈夫だよと安心させてあげるのが大切だと、後から思いました(Uさん/子ども・中3)
友だちがいないと親は不安になるものです
子どもは、友だちとワイワイと賑やかにすごすものだと決めてかかってしまいがちです。
でも考えてみれば、常にずっと友人に取り囲まれて過ごしてきたでしょうか? 自分自身を振り返れば、学生時代や社会人になりたての頃も含めて、友人がいない時期や友だちがうまく作れずに不安な新学期を迎えたりした経験はありませんか?
また、ひとりで過ごすほうが気楽だと思い、好きなことに夢中になって友だちとあまり関わりを持たない時期もあったかもしれません。
子どもの性格にもよりますが、環境や年齢によっても友だち付き合いは変化します。小学生だとクラス替えを機に、友だちとの関係が変わることが多いようですが、ということは、また別の環境になれば、新しい出会いと友だちができるタイミングはくるということ。
心配になる気持ちはとてもよくわかります。筆者の息子も、あるとき、ひとりで校庭で過ごしていたことがあり、ずいぶんとヤキモキしました。でも、小学校3年生・4年生となれば、「だれそれちゃんと遊んだら」と強制するほうが、彼らが育みつつある小さなプライドを傷つけることもあるようです。先輩ママたちの話でも、親が子どもの友だち関係に過干渉になると、逆効果のことが多いという意見が多かったですね。
どーんと構えて(それが難しいのですが…)「あなたが楽しく過ごしているならいい」「辛いことがあるなら、いつでもママが聞くよ」「家族がいるから淋しいことはないんだよ」と、大きな気持ちで見守ってあげられるといいかなと思います。