苦悩続くライブハウスの今後を占う一石となるか 2カ月越しの配信企画がついに実現

黒川 裕生 黒川 裕生

新型コロナウイルスの影響で休業を余儀なくされている神戸のライブハウス4店による配信ライブ企画「ライブハウスジャッジメント in KOBE」が、6月21日13時から開催される。3月の企画発表時には、ライブハウスの垣根を越えた取り組みとして注目を集めたが、緊急事態宣言の発令と兵庫県などの休業要請を受け、当初予定していた4月14日の開催を断念。逆境に苦しみながらも、とうとう2カ月越しの開催に漕ぎ着けた。主催者のひとりで神戸VARIT.代表の南出渉さんは「時間をかけて準備を整えてきた。あとは1人でも多くの人に見ていただくだけです」と力を込める。

参加するライブハウスは、CHICKEN GEORGE / 神戸VARIT. / 太陽と虎 / ART HOUSE の4店。セックスマシーン‼︎やKNOCK OUT MONKEY、ドラマチックアラスカ、アルカラなど神戸にゆかりのあるアーティスト33組が、この4店に東京の六本木VARIT.も加えた計5カ所で事前収録したライブ演奏を配信する。ただし、このうち“西宮の狂犬”として知られるロックバンド「KING BROTHERS」のみ、21時頃から「殴り込み生配信」と称して神戸VARIT.でリアルタイムの無観客ライブを敢行。企画に携わってきた人たちの思いを背負い、イベントを熱く締めくくる予定だ。

コロナ禍に翻弄され、「4月以降の売り上げはほぼゼロ」と明かす南出さん。休業要請自体は6月1日から解除されたが、当面、キャパいっぱいまで客を入れた公演は難しいことが予想される。南出さんは「オールスタンディングで定員350人の神戸VARIT.も、安全性を考慮すると最大でも45人くらいしか入れられないのではないか」と見ており、「再開しても赤字を垂れ流すだけで、家賃や出演料を賄うのはまず不可能。このままでは本当にライブハウスという場所が失われてしまいかねない。この状況をどう打開できるかを必死に模索していくしかありません」と話す。

ネット上に独自のプラットフォームを構築して臨む「ライブハウスジャッジメント in KOBE」も、今後の展開を考える重要な試金石になる。南出さんは「配信ライブがどれくらいの人に見られて、どの程度の収益が出るかが、データとして残る。これを判断材料に、また次の一手を考えていきます」と先を見据える。

一方、神戸VARIT.は、7月1日から実際に客を入れたライブを再開する。1、2、3日はTHE TOMBOYSのワンマンを実施。定員を20人程度まで絞るほか、入場チケットのオークションや360度カメラのVR配信、演奏の合間の“換気休憩”、近隣の飲食店によるフード販売など、ライブハウスを継続していくための様々なアイデアを試す公演にするという。南出さんは「9月頃まではこうした試行錯誤を重ねながら、ライブハウスを生かす道を探っていきます」と話している。

■ライブハウスジャッジメント in KOBE https://judgement-kobe.com/

チケットは通常2000円(20日23時59分まで)、当日2500円(21日0時から24日11時59分まで)。アーカイブ配信は24日23時59分まで。

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