大阪府内24店の味をドライブスルーで!コロナ禍の主婦や子ども、商業施設も救え!壮大な挑戦

広畑 千春 広畑 千春

 コロナ禍で困窮する飲食店の突破口にと、予約注文した人気店のメニューを「3密」を避けてドライブスルー形式で受け取れる福岡発のイベント「ドラべん」が6~7日、大阪・南港のATCで開かれている。府内の24店舗がオリジナルのメニューを準備。外出自粛で家族分の食事を3食作り続けなければいけない主婦も、外に出られなくてツライ子どもたちも、集客イベントが開けない商業施設をも救い、食品ロスまで解消してしまおうという壮大な挑戦を取材した。

 発起人はブライダルや企業イベントプロデュースを手がける「ネクストステージ」(大阪市旭区)の今西秀基さん。緊急事態宣言は解除されたものの、第2波への警戒心や「新たな生活」の中、「簡単に客足は戻らない」と危ぐする。コロナ以前はよく出掛けていた大阪・ミナミでもレストランやカフェが次々に閉店してしまったといい、「元々テイクアウトやドライブスルーをしていた店は大にぎわいだが、そうでない店は容器やメニュー、値段設定など1からせざるを得ず、諦めて休業したり、頑張って始めても思うように収益が上がっていないのが実情では」と指摘する。

 そんな中、福岡の知人から500万円の経済効果を生んだ「ドラべん」の取り組みを聞き、「ぜひ大阪でも」と先月初め、知人の飲食店関係者に打診。ATCにも協力を求めたところ「ぜひ協力したい」と無償で会場を借りられることになり、飲食店からも出店料を取らずに開催にこぎ着けた。

 大阪・北新地でバー「craftbeer&whiskyハッチオ」を営むハチオさんは、緊急事態宣言発令前の4月4日から休業。収入がゼロになる中、急きょ国税庁のコロナ特例を利用して半年間の酒類販売業免許を取り、地ビールの宅配を行ってきたが、4~5月の売り上げは前年比8割減。今も客足の戻りは鈍いが、「文句を言っていても始まらない。何とか利益の上げ方を考えないと」と今回、鶏の砂肝を使った店自慢の特製カレーを準備した。

 原則予約と、当日販売も併せこの日は約800食を販売し、売り上げは約100万円。予約中心にすることで食品ロスを減らすこともでき、「BAR1988」の德廣裕紀さんは「仕入れの面でも都合が付きやすい。コロナ前は20名貸し切りをドタキャンされたこともあった。コロナ禍でも家賃や水光熱費の支払い、スタッフの給料は払わないといけない中、こうした予約中心の販売形態ならそうした事態も回避できる」と歓迎する。

 この日も次々に予約の車が到着し、一部当日販売を含め約800食、約100万円の売り上げがあったという。神戸市から家族4人で訪れた女性は「子どもがまだ小さく、外食はずっと行けないし外出も近所の公園ぐらい。ウーバーも利用したが、もう毎日毎日食事を作るのがしんどくて…ドライブスルーなら安心だし、ちょっとしたお出かけもできて、普段より豪華なご飯が食べられるのも嬉しい」と喜ぶ。

 飲食店同士や異業種間の新たなつながりも生まれているといい、「コロナがなければ、絶対しなかったイベントだし、生まれなかったつながり。発想を変えることで、この苦境を乗り越えていけたら」と今西さん。企業からのオファーも来ているといい「今後も広げられたら」と話している。

 ドラべんは7日も11時~14時。限定1000食、できれば事前に予約を。https://dora-ben.shop/

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