大阪府内随一の繁華街にいた子猫の梅吉くん。インスタグラムに「小さい子猫を助けて」という投稿があったのをきっかけに保護された。捕獲に手を貸した須藤さんは、最初は梅吉くんの里親さんを探すつもりだったが、脱走事件をきっかけに手放すまいと思った。
繁華街で子猫を捕獲
2015年5月、インスタグラムに「大阪の最大の繁華街の近くに野良猫の子猫がいる。遠方なので助けに行けない。どなたか行ける人はいませんか」という投稿があった。本当に小さな子猫だという。京都府に住む須藤さんは、翌日、キャリーバッグを持って現場に行ってみた。他にも同じ投稿を見た人が4人くらい集まっていた。
しかし、投稿に書かれていた場所の周辺には野良猫がいっぱいいて、子猫もいた。投稿した人が、どの猫のことを言っていたのかは分からない。近くの工事現場の人に聞くと、猫がゴミを漁ったような形跡があり、夕方以降だったら中に入って捕獲してもいいと言われた。
1人が捕獲機を3台持ってきていたので、3匹捕まえた。インスタグラムに投稿されていた小さな子猫は見つけることができなかった。
捕獲したのはいいが、猫を預かれる人がいなかったため、ひとまず須藤さんが3匹とも預かることになった。
脱走事件
翌日、大阪にある保護猫カフェが2匹引き受けてくれることになった。この子とこの子がいいと言われたので、須藤さんが搬送した。1匹の男の子だけが須藤さんの手元に残った。最初は預かりボランティアをしながら里親さんを探すつもりだったが、ご主人が子猫のことをとても気に入っていた。梅吉という名前もつけた。
ところが、ほどなくして梅吉くんが脱走してしまった。
「しばらく見かけなかったおばあちゃん猫の声がしたような気がして勝手口のドアを開けたんです。すると、そのすきに脱走してしまいました。近所を探し回って、翌日の夜、主人と見つからない、見つからないと心配して外を歩いていたら、近所の駐車場の石垣に座っていました」
須藤さんの心配をよそに駐車場のコンクリートの上を歩く梅吉くん。携帯電話に入っていた先住猫のチビちゃんの動画を再生すると、猫の声に反応して近くまで来た。それでもなかなか捕まえられず困っていたら、1匹の野良猫が現れた。須藤さんは、梅吉くんが野良猫に気を取られた瞬間、後ろからガバっと抱きしめて家までダッシュ!やっとの思いで捕まえた。
やっと家にたどり着いたが、扉の前で梅吉くんが渾身の力を振り絞って暴れ出した。須藤さんは、ご主人に「早く扉を開けて!」と叫び、家の中に入ってやっと手を離した。
「このことがきっかけになり、梅吉は譲渡しない、我が子にしようと決めました」
つかず離れず…でもいないと心配
5月末、須藤さんは野良猫の不妊手術をしている病院に梅吉くんを連れて行った。
「顔つきがすごく可愛らしかったので女の子だと思っていたのですが、男の子でした」
さくら耳カットはしていない。
先住猫のチビちゃんは神経質で、気難しいところがある。しかし、梅吉くんはおおらかでのほほんとしている。女の子のチビちゃんよりか細い声で鳴く。
梅吉くんは、チビちゃんにグイグイ近寄っていく。梅吉くんはチビちゃんをグルーミングするが、チビちゃんが逃げていくこともあった。そんな2匹を見て、須藤さんは「大丈夫かな」と思っていた。しかし、梅吉くんが脱走した時、たった1日いないだけでもチビちゃんは梅吉くんのことを探していた。一緒に寝たり、グルーミングしたりすることはないが、それなりに仲良くしている。