全国に顧客を持つ神戸・元町の人気テーラー「COL(コルウ)」(神戸市中央区)がマスクを製作。スマートな見た目と職人が仕立てる快適な着け心地に加え、スーツならば1着30万円はくだらない名門を気軽に体験できるとあって、6月発送分の100セットは予約開始とともに即完売。同店の販売責任者・嶋田良二さんに話を聞いた。
──今回のマスクが発売された経緯を教えてください。
「もともと余った生地でスタッフ用に作り始めたものを、お客さまからの要望で商品化しました。裁断から縫製まですべて職人の手作業でおこなうため1日3〜5セット限定ですが、オンライン販売を始めました」
──テーラーが仕立てるマスク、どのような特徴がありますか?
「いちばんは、オーダーメイド用の高級ジャケット生地を使っている点です。夏場での使用を想定し、表地には主にシアサッカーと呼ばれるサラリとしたストライプ柄の生地を、肌と触れあう裏地にはやわらかなイタリア製の生地を使用しています。コットン生地でできているため(生地によりポリエステルが混紡)洗濯も可能です。またストレスなく顔を覆う立体的なパターンなので、一日快適にご使用いただけます」
──使った人からはどのような反応がありましたか?
「『実際に使ってみてよかった』と贈り物用にリピートしてくださる方が多いです。普段は紳士服のみを扱いますが、沖縄在住の女性の方からも注文をいただくなど、思わぬ反響をいただきました。
──あまりお店の利益にはならないそうですが、作り続ける理由は?
「たくさんの人に仕立て服の良さを知ってほしい、ということですね。神戸は1868年の開港で中国・上海からイギリス人が仕立て職人を連れて移り住んだことから「近代洋服発祥の地」といわれています。かつて北野やトアロードには多くのテーラーや洋品店がありましたが、そのほとんどは閉業してしまいました。技術を継承し、神戸の職人文化を残していくためにも、テーラーとして「神戸メイド」の良さをこれからも発信していきます」
自社の職人だけではなく、靴やバッグ、シャツなど周辺の職人を巻き込みながら、神戸の職人文化を発信する同店。今回のマスクは、あくまで「1秒でも早く必要なくなりますように」という思いで、今後しばらくは作り続けるという。価格は3枚セットで3000円(生地・柄の指定は不可)。次回の予約時期(6月中を予定)など、マスクに関する情報は公式サイトにて。
■「COL(コルウ)」https://col-kobe.jp/#1