プロレスラー木村花さん(享年22)が亡くなった事件を受けて、今問題となっているSNSでの誹謗中傷。
誹謗中傷をされたら、まずは証拠を残すために、スクリーンショットを撮って、弁護士などの外部の専門家に相談するように…と言われますが、実際は「弁護士に相談するほどのことだろうか」と躊躇するレベルのものが多いと思います。
しかし、わざわざ相談するようなことでもないと自分ひとりで抱え込んでしまうと、どうなるのでしょうか?
最近では、悩みや不安を抱えると、すぐにネットで検索し、回答を求めがちです。SNSで誹謗中傷を受けた方も、同じような行動にでることが多いのではないでしょうか。
もちろんそれ自体は悪いことではありませんが、
・自分に都合のよい記事ばかりを読んでしまう
・最悪のパターンの記事ばかりを読んでしまう
どちらか一方へ偏ってしまいがちです。
検索して「安心しようとする」ことで追い込まれる現実
そもそも今のネットは検索履歴などを分析し、自動的に「あなたに」カスタマイズされて興味のあるものが提示されることが多いのです。
これでは、本当に必要な情報を手に入れることができません。検索すればするほど、自分が無意識に求めている回答が載っている記事ばかりを見るようになり
「大丈夫なはずだ」
と無理矢理納得させてしまうか、逆に悪いことばかり書いてある記事だけを追いかけてしまいます。自分にとって悪いことの記事ばかりを読んでしまうのは不思議にも思いますが、人はなぜか「よくない話」のほうがリアリティを覚えて、蟻地獄に落ちるようにもがきながら見続けて、どんどん深みにはまってしまい自分自身を追い詰めてしまいます。
もちろん普段なら「いろいろな意見を見てみよう」「こんなこといちいち気にしてちゃ、やってられない!」と判断できるでしょうが、パニックに陥ってしまうと気づく余裕がありません。
根拠のない、きちんとした解決策がない「嘘の安心」を得ても、心の傷が癒されることは稀です。あるいは悪い話ばかりを見ては恐怖感ばかりがふくらみ、不安に押しつぶされそうになってしまいます。
誹謗中傷を受けたら…必要なのはリアルな世界の人の声
検索自体は悪いことではないですし、ネットでまず情報を集めようとするのも当然です。しかし、SNSの誹謗中傷から身を守るには、リアルな世界の人の声が必要です。
ひとりで考え込み、ネットで検索して正しい回答を求めようとする、ネットの答えで安心したいと思う。でも、それはどうしても偏りがち。だからこそ、ネットから一度出てリアルな世界の誰かに相談するべきです。
声にだして、自分の不安や苛立ちや心配を言葉にする。そして相手の言葉に耳を傾ける。愚痴や弱音になってもいい、吐き出して、胸のつかえをとり、その上できちんとした対策を練っていくことが大切です。「ひとりで抱え込んではいけない」というのはこういうことです。
もしSNSの誹謗中傷をわが子がされていたならば、まずお子さんが「ひとりで抱え込まないように」寄り添って話を聞いてあげてください。と同時に、親が子どもと一緒に「親子だけで」なんとかしようと孤立しないように気をつけてください。
親子だけで解決しようとする場合、親が抱え込み、ネット上の情報に振り回されていることが多いです。
わたしたちはリアルな世界にいること、生きていること、だからこそ痛みを覚える。「人と話す」「人に聞いてもらう」生きた関係の中で解決策を求めていくことが大切だと思います。