通天閣が営業再開 消毒液で傷んだビリケンさんも“金ピカ”復活 予想以上の輝き具合に「請求書が不安」?

杉田 康人 杉田 康人

大阪市のランドマークタワー・通天閣が30日、展望台の営業を再開した。新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言を受け、4月9日から臨時休業。タワーのシンボルとなっている幸運の神様・ビリケンさんも、約1カ月間の修理期間を経て帰還した。通天閣観光の高井隆光社長(45)は、修復を経て輝きを増したビリケン像との再会に…。

足の裏を触ると願いがかない、幸運が訪れるというビリケンさん。コロナ感染防止対策として、展望台の再開後は訪れる人に〝エアタッチ〟を要請する。台座近くには「濃厚接触、お断りやで」などの注意書きが。マスク姿の観光客は像には触れず、念力を送るように足の裏に手をかざしていた。

高井社長は「ご利益は変わらない。新しい生活様式にならって、おまいりスタイルの変化にご協力いただきたい」と呼びかけた。再開にあたってサーモグラフィーによる検温や、29日から運用が始まった大阪コロナ追跡システムを導入。通天閣が府の感染状況に応じライトアップされる「新型コロナ警戒信号」対象施設となっているだけに、十分すぎるほどの感染予防対策を取っている。

現在のビリケンさんは3代目。通天閣と新世界100周年を記念し、2012年に新調された。クスノキ製のためか、背中に経年劣化によるひび割れが発生。感染防止対策のため、消毒液で足の裏を拭く影響も徐々に出始めていた。休業期間を利用して、5月初旬から京都市の仏像製作所「松久宗琳佛所」で修復作業を行った。

全身の色を塗り直した上に金粉を施し、樹脂で背中のひび割れを補修。ピカピカの像にグレードアップした。金色にピカピカ光るビリケン像との再会。高井社長は「金粉をまぶすとは聞いていなかった。請求書がまだ来ていないが、来月の請求書が楽しみです…」と、予想以上の変身と修理費用に苦笑していた。

昨年のゴールデンウイークには、1日約5000人が通天閣の展望台を訪れた。当面は〝三密〟を避けるため、人数制限を厳しくしながらの営業になる。コロナ禍の中で「通天閣を開けないと、新世界に人が戻って来ないと言われた。1年から1年半は試練の道。いつかはお客さんが戻っていただけると信じての準備期間。ピンチをチャンスに変えていきたい」と前を向いた。

東京五輪に向け、通天閣を金・銀・銅のメダル色にライトアップするプランも。2025年の大阪万博も見据え「皆さんとともに、大阪を盛り上げていくような仕掛けづくりをしていきたい。街に光をともし続けたい」と意気込む。まずはコロナの収束を切に祈る高井社長。〝エアタッチ〟ではなく、毎日手を合わせてビリケンさんにお願いしている。

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