離婚の犠牲になった琉球MIX犬 神戸の生花店でお客様に愛される看板娘に

岡部 充代 岡部 充代

 琉球MIX犬のKouちゃんは神戸市兵庫区の生花店『花保(はなやす)』で看板犬をしています。“kou”と書きますが、込められた思いは“幸”。先代の“fuku(福)”ちゃん、一緒に暮らす“kuru(来る)”ちゃんと合わせて「幸福来る」となるのです。

 

 Kouちゃんは沖縄で娘と暮らすお母さん犬でした。7歳のときに飼い主が離婚し、妻が家を出て、2匹は夫と暮らすはずでしたが、その夫が飼育放棄したため、妻から相談を受けた地元の動物愛護団体が里親募集したそうです。でも、沖縄では良縁に恵まれず、はるばる関西までやって来たのでした。

 関西で2匹を引き受けたのは、個人ボランティア『Ycdなんくる倶楽部』の田中奈緒子さん。自身も琉球MIXの犬と暮らしており、預かりボランティアさんたちの協力を得て、沖縄から迎えた犬の里親を探す活動をしています。

 

 kouちゃんが大阪へ来たのは2015年2月。新しい環境に慣れるため、しばらく預かりボランティアさんの家を転々としましたが、翌3月にトライアルが決まり、4月に正式譲渡となりました。里親になったのが、生花店『花保』の西川恵子さんです。

「里親募集サイトでfukuに似た子を見つけて連絡したのですが、その子は入れ違いで譲渡先が決まっていて。代わりに『この子はどうですか』と勧めてもらったのがkouでした。トライアルをしてみたらいい子だったので迎えたんです」(西川さん)

 

 Kouちゃんは甘えん坊で、ひとりになると「ピーピー鳴く」(西川さん)ため、留守番させるのはかわいそうだと、生花店の奥にある事務所に連れて行くようになりました。すると、人が大好きなkouちゃんは、お客様が来ると真っ先に出迎えに行くように。お客様にもかわいがられていて、たまに姿が見えないと、お花のことよりも先に「kouちゃんは?」と聞かれるそうです。

 

「うちに来た頃は、心を開いていない感じがしました。目もつり上がっているように見えて、『本当にあなたに甘えていいの?』と警戒しているような。でも、慣れてきたら人一倍の甘えん坊になりましたね。お客様にも甘えるし、散歩中に『かわいいね』って言ってもらうと自分から寄っていくんですよ(笑)」(西川さん)

 いつもは朝9時から夜6時まで、西川さんと一緒にしっかり勤務していますが、今は新型コロナウイルスへの配慮もあり、出勤自粛中。お留守番が苦手なkouちゃんは、おうちで「ピーピー」鳴いているかもしれません。お客様だって、きっとkouちゃんにお出迎えしてほしいはず。コロナ終息と看板娘復活をみんなが待っています。

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